レインブーツ&シューズのお話

毎年のことですが、梅雨の季節がまもなくやってきます。
ジメジメとして足元も悪い中での外出は、おしゃれも楽しめずにテンションも一気に下降してしまいます。

しかし、ここ数年はレインブーツやレインシューズもカラフルで様々なデザインが増え、
その進化には目を見張るものがあります。
現在のレインブーツは、一昔前の「ゴム長靴」とはイメージが180度違い、
キュートで斬新な柄、カラーで、シルエットも流行に合わせたスタイリッシュなデザインが豊富になってきました。

また、色やスタイルだけではなく、リボンやアクセサリーで装飾したものや、有名ブランド品などもあり、
見ているだけで雨の日の外出が待ち遠しくなります。
このようにレインブーツのファッション性が高まり人気が上昇してきた数年前から、
当社にもケアや保管方法に関する質問が多くなってきました。
そこで今回はラバーのレインブーツ&シューズについてお話をいたします。

レインブーツの材質の多くはラバー(ゴム)です。
基本的にラバーは使用していると経年劣化が起こります。
天然皮革の場合は保革クリームなどを使用することで、素材の柔軟性を保ち、
耐久性がアップするのですが、ラバーに関してはそうはいきません。

ちなみにラバー劣化の典型的パターンは1.亀裂(ひび割れ)の発生 2.硬化 3.黄変(黄ばみ)などです。
それらの原因は紫外線や光によって化学反応が起こることにあります。
空気にふれているだけで、時間の経過とともに製品の表面に亀裂が入ったり、粘着性=ベタ付きが発生します。

また、光によってラバーの色は変色をしてしまうのですが、黒などの濃い色のほうが劣化しにくく、
白などの明るい色は劣化(黄変)が起こりやすいので、耐久性を考えると黒の方がお得ということになります。
とにかく紫外線や光がラバーにとっての天敵なので、暗所での保管がおススメです。

ケアについては、劣化したラバーを完全修復する製品はありませんので、
定期的にお手入れすることで劣化を“予防”することが最大のポイントになります。
そして、肝心のケア製品は「ウォーリー・マルチカラーローション」というラバー製品専用のローションを使用します。
布に適量のローションをとり、表面の汚れを落としながらツヤをキープし、
ラバーの表面を軽くコーティングすることで耐久度がアップするのです。

使用方法も簡単ですし、定期的な使用でラバー製品が長持ちします。
一昔前のいわゆる“長靴”であれば、履きつぶし感覚でもOKでしたが、これだけ多様化し、
ブランド化した現在のレインブーツは、今後お手入れすることが常識的な感覚になるでしょう。

最後に、梅雨時期のレインブーツを快適に履く注意事項を簡単にご紹介します。
ラバーは素材そのものに通気性がないので、歩行時にでる汗による靴中のべた付きや、
ムレによる悪臭の発生などの問題も起こります。
不快な方は吸汗性の高いインソール(中敷)の使用や、
除菌タイプの消臭スプレーなどで快適に履くことができますので併用下さい。

まもなく入梅です。備えあれば憂いなし!
マルチカラーローションで、大切なレインブーツをケアしながら、梅雨時期の“足元のおしゃれ”をお楽しみ下さい。


【ウォーリー・マルチカラーローション】

■ラバー・ゴムの長靴、シューズ、ブーツのお手入れ方法■





ムートンブーツのお話

ムートンブーツのお手入れ方法を教えてください。」
「ムートンブーツってケアできるのですか・・?」など秋が深まるにつれて、
ムートンブーツに関するお問い合わせが多くなってきました。
実際に、街では今年もムートンブーツを履いた女性が目立ちます。
数年前にはじめてムートンブーツを目にした時は、ボテッとした形の一見変わったブーツだと思いましたが、
目が慣れてきたせいか(笑)今では見た目もかわいらしく、すっかり冬の定番アイテムとなりました。
そこで今回は冬の新定番“ムートンブーツ”についてお話いたします。

ムートンブーツとは、羊の革をスエード状に起毛していて、
靴底はラバーでフラットなヒールの無いブーツのことを指します。
UGG(アグ)、EMU(エミュー)、MINNETONKA(ミネトンカ)などのブランドが有名ですが、
共通して言えるのは、表面の素材はムートンではなく、あくまでシープレザーのスエードです。
そのため“シープスキンブーツ”とも呼ばれています。

このブーツは、オーストラリアの発祥で、
その後アメリカの女優やセレブなどが愛用したことからブームに火がつきました。
表面はシープスキンのスエードだけあって大変繊細ですが、
お手入れ方法はスエードのお手入れ方法に準じます。
但し、毛がとても細く繊細なため、
ブラッシングにはスポンジ状のゴム型ブラシ「ウォーリー・スプラッシュブラシ」を使用します。
毛に与えるダメージを最小限に抑えながら、汚れをしっかりとゴムに吸着させることができます。
ブラッシング後にスポンジに若干色が還ってきますので、
ブーツを数色持っている場合は、色別に揃えていただくのがおすすめです。

ブラッシングでも落ちない汚れは、「ウォーリー・スエードクリーナー」を布にとり、拭き取って下さい。
その後、仕上げで「ウォーリー・スエードカラーフレッシュスプレー」をブーツ全体にスプレーします。
これにより、皮革に栄養を与えて、色を鮮やかに保つことができるのです。
さらに、汚れや雨からブーツを守りながら、シープスエード素材の持つふわふわ感を維持し、退色を予防します。

そして、色アセしてしまったシープスエードのブーツですが、
実はそれほど手間をかけずに補色することができます。
まずスプラッシュブラシでブラッシングし、
次に「ウォーリー・スエードカラーフレッシュリキッド」を全体的に塗り込んでいきます。
一般的には、起毛皮革素材を補色する場合、スエード用のスプレーが思い浮かぶと思います。

しかし、スプレータイプは作業の際にマスキング(塗りたくない部分を隠す)したり、
新聞紙などを床に敷き詰めたりかなり手間がかかり、簡単そうなイメージとは裏腹に悪戦苦闘必至です。
それに対して、スポンジ付きの液体タイプであるフレッシュリキッドは、周囲に飛散しないので使いやすく、
さらに、表面にふき付けるだけのスプレーとは違い、
先端のスポンジでスエードの毛と皮革本体をしっかりと染めることができるので、
初めての人でも美しく仕上げることが可能です。

また、ブーツ内部は保温性の良さの反面で、ムレやすくブーツの中の除菌、
消臭が必要です。ブーツを脱いだ時は「ウォーリー・バイオフレッシュデオ」を使用して、
「シダーボールドライ」などの除湿、乾燥剤を入れて保管すれば、すっきりと清潔に保つことができます。
難しいと思われているムートンブーツのケアと保管ですが、シンプルなケアできれいに長持ちさせ、
快適に履くことができます。R&Dのケア用品を駆使して、
この冬もムートンブーツファッションを楽しみながら快適にお過ごし下さい。


【ウォーリー・スエードカラーフレッシュスプレー】

【ウォーリー・スエードクリーナー】

【ウォーリー・スプラッシュブラシ】

■スエードのお手入れ方法のご紹介■


ヒマラヤワックスのお話

「登山靴のお手入れ方法を教えてください。」
「アウトドアのブーツのケア方法は・・?」
など最近のアウトドアブームを反映してか、そのような質問が増えてきました。
登山靴やアウトドアシューズの多くに使われている革は、なんといってもオイルドレザーです。
そこで今回はオイルドレザーのケアについて、R&D的に考察いたします。

オイルドレザーは、その名の通り動物系の油でなめした革で、
オイルアップレザーやオイルレザー等とも呼ばれています。
皮革に油分がたっぷり含まれているので、防水性が高い製品です。
表面はオイルドレザーの味わいであるオイル感が、独特な色合いと雰囲気をかもし出します。
防水性、耐久性が高いので、靴は登山靴、トレッキングシューズやデッキシューズ等、
山や川、海などで履くための用途の靴に多く使用されています。
ちなみに、ヌバックにオイルを馴染ませたオイルドヌバックという起毛タイプもあります。

そんな特色があるオイルドレザーにおススメのお手入れ用品と言えば
・・・模範解答は「ミンクオイルやウェットプルーフをお使い下さい。」でしょう。
もちろんミンクオイル等をオイルドレザーの靴に使用するのは、ごく常識的なことです。
しかし通常より一歩踏み込んだケアを!
・・ということでR&Dでは一味違う方法をおススメしています。
それはウォーリー・ヒマラヤワックスというオイルドレザーに最適な保革・防水剤です。
一般的にはそれほどなじみの無い商品ですが、
実はこれがオイルドレザーの靴のお手入れに欠かせないといっても過言ではない、隠れた名品なのです。

一般的なミンクオイルやウェットプルーフは、油の固まりのような商品なので、
皮革に塗りこんで空ブキしても表面的にはべた付きが残ります。
表面のべた付きが、汚れやホコリなどを吸着するため、汚れやすい、黒ずみやすい傾向があります。

違いをわかりやすく整理をすると

・ミンクオイルやウェットプルーフ・・・・@汚れの付着が多い A光沢はそれほど出ない B色が濃くなる(黒ずむ)  

・ヒマラヤワックス・・・・@汚れの付着が少なくなる A光沢が良く出る B色の変化は少ない(素材の色が鮮やかになる)

といった具合に、比較すると@汚れの付着率 A光沢感 B色の変化 に決定的な違いがあります。
そういった意味からも、ヒマラヤワックスがベターなのです。

そして、ヒマラヤワックスの使用方法ですが、
まずヒマラヤワックスを靴に直接スプレーして、柔らかい布で油分を馴染ませていきます。
その後は、ハイシャイン(鏡面磨き)と同じ要領で、水を数滴取り、革の表面にのせて、柔らかい布で磨きこみます。
結果として、保革性を高めるための油分が皮革内部に浸透し、表面はワックスコーティングされます。
表面がサラッと仕上がり、光沢が強烈にでることがこの商品の最大の特長で、
オイルドレザーとは思えないほど表面のタッチがなめらかになり汚れが付きにくくなります。
また、防水性の高さは“ヒマラヤ登山隊も愛用!”という名前の由来からも想像できると思いますが、
その持続性はお墨付きです。

以上が、これまでのオイルドレザーケアのイメージを一新してしまうR&Dからの新提案です。
特に、アウトドアが好きな方々にとっては、ドキドキ、ワクワクするような“新発見”になること請け合いです。
是非一度お試し下さい。

【ウォーリー・ヒマラヤワックス】

■オイルドレザーのお手入れ方法■

雨の日に履く靴のお話

地球温暖化の影響や秋の長雨からか、全国各地で集中豪雨による被害のニュースを見ることが多くなりました。
政府が発表した「異常気象レポート」も、大雨は「長期的に増加傾向がみられる」と警告しています。
そんな大雨の影響かもしれませんが、当社にも靴の防水についてのご質問が、
梅雨や秋雨の時期に年々増加傾向にあります。
そこで、今回は「雨の日に履く靴」=「雨に強い靴」のお話をしたいと思います。

雨の日に履く靴で一番イメージが湧くのは「ゴム長靴」だと思います。
子供のころは誰もが履いたゴム長靴は、素材がゴムですのでいわば完全防水です。
しかしこれは一般の通勤や通学向けではありません。

では通勤、通学靴で雨の日におススメの靴はどんなものになるのでしょうか?
結論から言いますと、雨の日に履くR&D的おススメ靴は
“アッパー(靴本体上部)の素材がスエードやヌバック素材で、靴底がラバーソール”の靴やブーツです。
お客様にこの話をすると、ほとんどの方が
「スエードって雨の時に履けるのですか!?」
「スエードって濡れやすいのでは・・??」と驚かれます。

またR&Dシューケアプロモーション(実演会)で消費者の皆様とお話していると、
「スムースレザーはお手入れするけれど、起毛皮革はお手入れしたことが無い・・・。」
「お手入れはできないと思っていた・・・。」と言われる方が数多く存在します。

このように日本ではスエード、ヌバック素材は雨に弱く、お手入れできないイメージが定着していて、
靴販売の接客時にそのように言われるケースもかなりあります。
そんな日本に定着した起毛皮革への常識、イメージをひっくり返す様なことをなぜR&Dが公言しているのか・・・
そのバックグランドと理由をご説明いたします。

スエード、ヌバック素材が雨に強いという最大の秘密は「毛」にあります。
革本体の上部に毛が密集していて、雨の進入を一本一本の毛が守るからなのです。
人間に例えれば、毛髪があれば雨の中、傘をささずに歩いても、ある一定時間は頭皮までなかなか雨は到達しません。
スキンヘッド(=スムースレザー!?)であれば、防御する“毛”そのものがないので、雨が直接頭皮にあたり、
すぐにびしょ濡れになってしまいます。
ケアしてあるスエードは、油分と潤いが皮革にたっぷり入り込んでいる上に、
毛の部分はフッ素加工で水に対して強くなっているので、強力な撥水力をうみだします。

但し、スエードが雨に強いという理由には、ケアに使用する「ウォーリー・スエードカラーフレッシュ」という
スエード、ヌバックに栄養をしっかりと与えながら、毛に防水力をつけるスプレーの存在は欠かすことができません。

この素晴らしい専用商品があるからこそ、雨の日も快適に歩くことができるようになったのです。
このように、普通に考えれば単純な理屈も、インプットされた常識が邪魔をしていることで、
私たちも最初は、起毛皮革が雨に弱いという考え方に対して、疑う余地すらありませんでした。

しかし、R&Dではスエード素材を含め、数多くの靴をお手入れしてきた経験やその探究心から、
その常識の誤りに気づいたのです。
そしていつの日からか、スエード、ヌバック素材&ラバーソール靴が、
R&Dが情報発信した“雨靴の定番”となったのです。

日本の雨靴の常識をひっくり返したこの事実は、実際に雨中での歩行を体感することで
驚き、喜び、楽しさを感じとることができるはずです。
「百聞は一見にしかず。」半信半疑の方は騙されたと思って一度お試し下さい。
雨の日の外出が楽しくなること請け合いです! 

【ウォーリー・スエードカラーフレッシュスプレー】

■スエードのお手入れ方法のご紹介■

スエードシャンプーのお話

革靴を洗う、と言えば「エッ!そんなこと出来るのですか?」
はじめて聞いた方は皆びっくりして同じような返事が返ってきます。
それもその筈です。

“洗う”と言えば洗濯のように丸洗いを想像しているからです。
「イイエ、靴の表面を洗うんですョ」と言い直すこともしばしばありますが、それでも驚きます。
何しろ靴は濡らしてはいけないと信じ込まされていますから。
では「何故濡らしてはいけないのでしょうか?」と意地悪く逆質問をしてみますと、
突然のことに「ウム・・・・」と考え込んでしまい答えられなかったり
「・・・・・靴が・・・・傷む・・・・・」などなど漠然とした返事をする人が意外に多いことに気付きます。
「シミになる」「硬くなる」「革が伸びる(縮む)」「色落ちする」などの答えが返ってくる人は少なく、
4〜50人集まった時、まとめ上げてようやく辿りつくという有様です。

雨に濡れれば当然このようなことは起こりえるのですが対処の仕方が判らない。
どこへ行っても誰に尋ねてもみんな知らない。
これでは泣き寝入りするしかありません。
「だから水は大敵」なんだとはじめて靴を買ったその日から靴販売店をはじめ家族や友達
、同僚など、周囲から言われ続けてくれれば“革はコワ〜イものというイメージが脳裏に焼きついてしまうのも当然ですね。
中でも濡れて一番怖いのは雨染みです。
しかし革でも布でも同じことですが「染み」が生じるのは部分的に濡れたときだけです。
全部濡れれば乾いたところとの接点が無くなり”輪ジミ“という現象は起きません。
このことをしっかりインプットしておいて下さい。

さて、今回はスエード靴を洗うレシピをご紹介しましょう。
薄い色のスエードやヌバックの靴は汗や雨染み、その他の汚れが特に目立つものです。
擦っても拭いてもきれいにならない靴は洗うことにより美しさが蘇ってくるものです。
用意していただくものは、
@バケツ(水) AM.モゥブレィ・スエードシャンプー Bクリーニングスポンジ Cタオル
です。

まず、最初は、泥や汚れをブラッシングして落とした靴を、水を含ませたスポンジで湿らせてください。
この時、靴全体を拭くように余すところなく湿らすことがポイントです。
次にスエードシャンプーをスポンジで十分泡立ててから、手早く擦り始めてください。
汚れのひどいところは念入りにして全体を洗い終えますと、汚れとシャンプーが靴の表面に残っていますので、
今度はきれいな水で固く絞ったタオルを使い、汚れを丹念にぬぐい取って下さい。
この時汚れはタオルに付着しますので「落ちたかナ〜」と確認できます。
濃い色の靴は色落ちしますが、スエード用の補色剤があれば問題ありません。

そして、拭き終わったら風通しの良い場所に陰干しします。
夏場では20分くらいで乾きますがその様子をはやる心を抑えながら眺めていると
濡れて黒かった靴は次第に明るく変化してゆきます。
シミは消えすっきりした革肌の美しさはまさに風呂上りの感じで身も心も洗われたような気持になります。
それがまた次の靴に思いをめぐらせる結果となり、ついにはのめり込んでゆくのです。

特にヌバックにおいてはなおさらです。
乾くとアッパーは少し硬くなりますがこれは毛羽同士がくっつくからです。
スエードブラシで毛を起こせば元に戻ります。
最後にウォーリー・スエードカラーフレッシュをスプレーすれば完了です。
「スエードやヌバックは手入れが面倒だから・・・」
「むずかしいから・・・」とおっしゃる方、
ツルツルしたスムースレザーより毛羽立っている方が表面にキズがつきにくく、補色も楽です。
雨染みだって落ち易いのです。靴を洗ってみることにより、シューケアに対する展望が急速に広がっていきます。
さすが、革先進国ヨーロッパですね。
スエードシャンプー万歳!


【Mモゥブレィ・スエード&ヌバックシャンプー】

■スエードシャンプーの使用方法■



レザーウェアのお話 

秋も深まり、今年もレザーウェアを着ている人を見かけるようになりました。
日本でもすっかり秋冬の季節の定番的アウターになったレザーウェアを、
映画のワンシーンのようにかっこよく着こなしている方もいらっしゃいます。
R&Dにもそのケア方法についてのご質問が多くなるのも毎年この季節です。
今回はそんな秋、冬の人気アイテム、レザーウェアのお手入れと保管についてお話をしたいと思います。

レザーウェアにはご存知のとおり様々なタイプがあります。
いわゆるレザージャケット、レザーブルゾンから革ジャンと言われるライダースやミリタリー、
そしてソフトなレザーを使用したレザーコートなどを含めるとかなりの種類です。
素材も繊細なシープ・ラム(羊)からホース(馬)、ゴート(山羊)、ディア(鹿)、バッファロー(水牛)、
そして牛革にいたっては厚手の成牛から子牛であるカーフ、キップまでありとあらゆるものが採用されているのです。

当社にケアのお問い合わせがあった時には、まず素材についてお尋ねします。
素材がわからない場合には、
スムースかスエードか?
スムースの場合には光沢があるかないか?
また色は何かを確認すればおおよそ判断が付きます。

レザーウェアをお手入れしたい方にとって一番重要なことは、どんなクリームを使用すれば良いか、
またそのクリームが本当に使用できるのか、シミやムラなどにならないかということですので、
おおよそ皮革にソフト感や光沢の有無を尋ねて、色がわかれば自然と答えは出てくるからです。

ここで皮革のタイプ別に、どのようなお手入れ用品が使用できるかをご紹介します。
当社の製品でレザーウェア(表革)のお手入れに使用しやすい商品は
ウォーリー・クリームエッセンシャル
M.モゥブレィ・デリケートクリーム
ウォーリーソフトナッパスプレー
の3つの人気商品です。

どれを使えば良いかについては下記の要領で判断することができます。
@ 柔らかい革・色が淡い → ウォーリー・ソフトナッパ (ラム、シープ、ヌメ、ナッパ素材など)
A 柔らかい革・色が濃い → M.モゥブレィ・デリケートクリーム
B 厚手で丈夫な革・色は問わず・ツヤ有り → ウォーリー・クリームエッセンシャル
C 厚手で丈夫な革・色は問わず・ツヤ無し → M.モゥブレィ・デリケートクリーム

このように、柔らかい革(ソフトレザー)か厚手で丈夫な革か、ソフトレザーの場合は色が淡いのか濃いか、
丈夫な革はツヤが有るか無いかなどの情報を確認すれば、
何を使用すれば良いか一目瞭然なのです。
そして何よりもレザーウェアを美しく長持ちさせるために、定期的に潤いと栄養を与えて
皮革製品の天敵である“乾燥”から守ることを心がけて下さい。

保管に関して気をつけなければならないのは、何といってもカビです。
つきなみですが、しっかりとお手入れをして、よく陰干ししてから通気性の良い場所にしまってください。
また、レザーウェアの場合は一度シワが付くと癖がついてしまうので、
折りたたまずに木製の厚手のハンガーにつるしましょう。
天然の木はある程度の吸湿性がありますし、
針金タイプのハンガーでは厚みが無いため型崩れを起こすケースがあります。
このような理由から保管には木のハンガーが最適なのです。
さらに、シーズンが終了して夏を越す場合にも、カビ対策のために定期的に風を通すことは必ず行って下さい。

日本でもすっかり冬の定番になった、レザーウェアを愛する方々が次第に増えて、
R&Dのケア製品で美しい艶やかなレザーウェアを着こなす方が多くなれば、
私たちにとってこの上ない喜びになります。

※皮革の種類や仕上げなどによって色落ち、シミなどになる特殊な製品もありますので、必ず目立たない部分でテストしてからお手入れ用品をご使用下さい。

【ウォーリー・クリームエッセンシャル】
【M.モゥブレィ・デリケートクリーム】
【ウォーリーソフトナッパスプレー】

■レザーウェアのお手入れ方法のご紹介■





カラーの靴クリームのお話

「この靴の色(茶系)に使える靴クリームを下さい。」
「茶色のクリームですね・・・ちょっと微妙なお色ですね。
・・・・・ぴったり合った色のクリームは申し訳ありませんがこちらにはございません。」
ある靴屋さんでの光景です。

実際にこのようなやり取りを目にすることは少なくありません。
この場合は多くのお客様がご購入せずにお帰りになるか、無色のクリームをお薦めすることになります。
無色の靴クリームをお薦めすることは悪いことではありませんが、補色力がないので、
皮革にキズが入っている場合にはそれほど意味がありません。
そこで今回はカラーの靴クリームの“役割”と“色”についてお話したいと思います。

以前のシューケア情報「無色のクリームのお話」で「無色のクリームは色が合わない場合に使用します。」
とご紹介しました。
ここで言う色が合わない場合とは、上記のように靴の色と微妙に合わない場合ではなく、
黄色や紫色など全くその色のクリームが存在しない特殊な場合を言います。
ご存知だとは思いますが、乳化性靴クリームの場合は、
皮革の色を完全に替えてしまうほどの着色力はありません。

例えばベージュ色の革靴にダークブラウンの靴クリームを塗ったとしても、
革靴をダークブラウンに替えることは不可能です。
多少しわの間にクリームが残り、うっすらと茶色っぽくなる程度です。
それくらい乳化性の靴クリームは色が付かないということなのです。
あくまでカラーの乳化性靴クリームの役割は“色替え”や“着色”ではなく“補色”であります。
補色とはキズが付いたところに対して、
クリームに含まれている染料がなじんで色を補い目立たなくするという意味です。
白い紙の上にクリームを伸ばしてみて下さい。
クリームの色はビンから見える色よりかなり薄いことがはっきりとわかります。
これらのことから、冒頭の「ぴったり合っていないからクリームはございません。」
という接客のナンセンスがご理解頂けると思います。

したがって、冒頭のお客様への接客は「クリームの色は靴とぴったり合っていませんが、
少し薄めの同系色のクリームをご使用いただければ補色もできます。」が理想的な回答です。
当社で扱っている乳化性靴クリームには「M.モゥブレィ」と「ウォーリー」の2つがあります。
実はこれらのカラークリームの色の作り方にもそれぞれメーカー的な特長があるのでご紹介いたします。

まずM.モゥブレィの工場は欧州の伝統的な製法とノウハウで、
熟練の職人によって丁寧にクリームが製造されています。
日本そばで言えば“手打ち”で、いわば“職人による手作り靴クリーム”に例えられます。
クリームの色に関しては、配合基準はあるものの基本は手作業ですので、
製造ロットによって微妙に色が異なることがまれにあります。
・・でもある意味でこれがハンドメイドの証しです。
工場の担当者に色の違いのことを言っても、
「乳化性はこの程度の色の違いはほとんど差がでないから・・試してごらん。」
とたしなめられてしまいます(笑)。

実はイギリスやフランスのメーカーでも過去に同じことを言われた経験があるのですが、
我々もプロなのでそんなことは百も承知です。
それでも日本人である私達は見た目が重要に感じてしまうため、
ヨーロッパの人々にとってみれば“ばかげた質問”を世界各国で繰り返してしまうのです。
簡単に言えば国民性と靴文化の違いということになりますが、
欧州では色のちょっとした違いがあったとしても、実用性が満たされていれば良いということなのでしょう。

しかし、同じヨーロッパでも世界最高レベルの設備といわれているドイツのウォーリーの工場には、
色調が同一になるように、カラーを数値化してチェックするシステムがあります。
この機械を使うことで常に同じ色が製造できるようになっているのです。
モゥブレィとウォーリーでは色の作り方に両極端なスタンスの違いがありますが、
色について尋ねてみれば両者共に
「クリームの色は靴の色と系統が同じであれば(色が似ていれば)問題ないよ!」
という色についての本質的な考え方はおもしろいことに同じです。

このように皮革のことを良く理解して、“補色”の意味がわかっていれば微妙な色の違いは、
それほど大きな問題ではないということがお分かりいただけると思います。
そして革靴は気をつけて歩いていても若干のキズなどが入ってしまうため、
お肌を整えて美しく見せるファンデーション的な存在のカラーの乳化性靴クリームは必要不可欠です。

革靴の大切なメイクアップ道具であるカラーの靴クリームを上手に使いこなすことが、
皆様の大切な靴を美しく長持ちさせる秘訣なのです。


【ウォーリー・クリームビン】




ステインリムーバーのお話

「クリーナーで汚れを落としてから、靴クリームを塗って・・・。」
よく靴のお手入れの説明をする時や、マニュアルに書いてある定番フレーズです。
クリーナー(靴用汚れ落し)についてはチューブ、液状、ムースなど様々なタイプが存在しますが、その中から、
今回はR&D一押しの「M.モゥブレィ・ステインリムーバー」についてお話ししたいと思います。

日本で靴用クリーナーといえば“中性クリーナー”というチューブ入りで無色のクリーム状のものが主流です。
説明書やパッケージは「汚れを落としながら光沢を与え一石二鳥で便利です・・」的なニュアンスが多く、
販売トークとしては良さそうなのですが、実際はどうなのでしょうか。
以前のシューケア情報<クリーナーのお話>の中で
“靴(表革)の「汚れ」とは表面に付着している汚れや古いクリーム、ロウ分など含めた全てです。”
とお話しました。

クリーム状の中性クリーナーはその多くがツヤ(光沢)を出すためのロウ分を配合していますので、
布で拭取りながらツヤが出てきて便利そうな気がします。
・・でも・・何か違うような気がしませんか!?
そうなんです。
ツヤがすぐに出てきてしまっては、靴に残っている古いロウ分やクリームなど「汚れ」が取れないのです。
クリーナー本来の役割は、
表面の汚れを落としながら古いクリーム分などを一緒に除去し、通気性を保つことにあります。

つまり、革靴のクリーナー(汚れ落し)はツヤを出す為のものではなく、
古いロウ分を取りツヤが消えマット(ツヤ消し)な状態になるのが本当の姿なのです。
ツヤはその後に靴クリームで栄養を与えながら磨きこめば、むしろ良く出てきます。
「ツヤ出し剤配合のクリーナー」 → 「靴クリーム」の順で仕上げをするということは、
靴クリームを2回塗っているのと同じようなものです。
二度塗りということは“厚塗り”なので、通気性が大切な革靴にとってあまり好ましくないことでもあります。

M.モゥブレィ・ステインリムーバーは軟水(ソフトウォーター)がベースの洗浄剤で、
皮革にとても優しい汚れ落しですが、過去にはあまりの汚れ落ちの良さから
「これは強いクリーナーで皮革を傷める!」等と批判や中傷された経験も正直あります。
しかし、本当のナチュラルメーク的なシューケア(靴の手入れ)を理解して使えば、
チューブ入りクリーナー(中性クリーナー)との機能性の違いは一目瞭然です。
M.モゥブレィ・ステインリムーバーの特長は靴にダメージを与えずに、
古いクリームや皮革に入り込んだ塩分等もしっかりと落とすことができるということなのですから。

発売した当初は、使用後の布にクリームの色がある程度付くため、
チューブ入りクリーナーに慣れ親しんだ方は「色落ちしたぁ!!」と一瞬びっくりしてしまう方もたくさんいました。
しかし、あわてずに革靴の色を見ていただければ自然と理解できます。
革の染色そのものは全く落ちていません。
皮革の表面やシワの間に残った古いクリームが取れているだけで、革のツヤ感だけが落ちるのです。
スキンケアに例えるならば、お化粧している女性がクレンジングでメークアップを落としているのと同じことです。

革も人間の素肌のようにお化粧(靴クリーム)を塗りっぱなしでは通気性が悪くなり、表面が荒れてきます。
ステインリムーバーは水分が皮革にしみ込んで、古いクリーム等を浮き立たせて、
洗浄成分で汚れをすっきりと落とすのですが、もっと強いベンジンやシンナー系の溶剤を使用すれば、
はるかにステインリムーバーより汚れや古いクリームは落ちます。
しかし、ロウ分や油分を「完全!」以上に落としすぎて、ステインリムーバーと比較すれば、
革の表面にかなりのダメージを与えます。
つまり、“水性”というのがステインリムーバーの最大の売りなのです。

使用方法もいたって簡単です。
指に綿などの布を巻きつけて良く混ぜ合わせたステインリムーバーを適量含ませます。
そして、革靴の表面を軽く拭いていくだけで、水分が浸透しながら汚れが浮き上がり良く取れます。
表面の汚れを落としながら、古いクリームを取り除き、通気性を維持、
さらに靴クリームの浸透性を向上させますので、本当の意味で靴がさっぱりときれいに仕上がります。
靴用のクレンジング剤であるステインリムーバーを今まで使用したことがない方は、
靴の素肌を生かしたナチュラルメーク的ケアを実践してみて下さい。
皮革がしっとりと、より美しく仕上がることの意味がお解り頂けるはずです。

但し、むしろ厚化粧した女性がお好みの世の男性方々には、
あまりこの商品は好かれないかもしれませんネ・・・・・関係ないか(笑)。


【M.モゥブレィ・ステインリムーバー】        

■スムースレザーのお手入れ方法のご紹介■

ハ虫類革のお話

今年のファッショントレンドの一つにハ虫類皮革を使った製品が目に付きます。
あのグロテスクで気味の悪い生き物までをファッションに取り込んで
街をかっ歩している女性たちを眺めているとやはり敵わないナァ〜と感じてしまいます。
筆者の私事で恐縮ですが、小生はヘビが大嫌いで、
特に死んで横たわっているあの冷たく光った白い蛇腹を見るとゾーッとして足がすくんでしまうほど怖いのです。

しかし、山村で育った子供の頃は草むらや石垣でヘビを見つけるとなぜか退治せずには居られず見つけ次第、
棒で叩いたり踏みつけたりそれはむごいことをしました。
罪の意識と共に今怖いのは昔のたたりであると思っています。
その後何の本であったか「我々人類の祖先は遠い太古の時代、ハ虫類と長い間戦い続けてきた歴史があり、
恐怖心や闘争心はその名残である」というようなことが書いてあり、
弱虫が少し救われたような気がしました。

さて、ハ虫類皮革(レプタイルレザー)の代表格として、
ワニ(クロコダイル、アリゲーター)トカゲ(リザード)錦ヘビ(パイソン)などがあります。
共通しているのはあの特有のツヤと模様(ウロコ)です。
磨けば本当に美しく希少価値ゆえに女性をとりこにするのも分かる気がします。
そして「美しいツヤを維持するため手入れはどうしたらよいのか・・・」
という問い合わせも多く寄せられるようになりました。

手入れの注意点について少しお話ししましょう。
「高額な(ハ虫類)専用クリームを使ったのにツヤが消えてしまった」という問い合わせを時々耳にします。
これはハ虫類皮革のツヤ出し方法によるためのものであります。
ハ虫類皮革のツヤ出しの方法は二通りあり、

一つは昔ながらの方法で磨き込んで自然にツヤを出す方法(グレンジング)により、
皮革の表面を潰しながら磨いてツヤを出す方法でナチュラルタイプと言えるものです。
このナチュラルタイプのツヤのハ虫類皮革は専用クリームの値段にかかわらず
磨けば保革と美しいツヤがよみがえります。

もう一つは、ラッカーなどツヤ出し剤を使い人工的に光沢を出したものです。
この方法はハンドバッグなどに多用されています。
ツヤが消えるというクレームが起きるのはこのラッカー系のツヤ出しを使い
簡単にツヤ出しが行われているタイプのものです。
原因はクリームに使用している溶剤がツヤ出し剤を溶解してしまうからです。

しかもやっかいなことに、双方とも美しい光沢のため、
一見ラッカー系の光沢かグレンジングによる光沢か見分けがつきません。
見分ける方法はクリームを目立たない部分で少し使ってみる。
ツヤが消えるものはすぐにラッカー系ということが分かります。
(テストで使用するクリームは専用でなくても、普通のクリーム(無色)やクリーナーでも出来ます。)
ちなみにハ虫類の靴にはナチュラルタイプ(グレンジング)が多いので例外はありますが、
ほぼ安心であるといえます。(でもテストをお忘れなく!)
手入れが出来ないのは致命的ですからね。
お店で販売している製品の手入れが出来るかどうかは、
予め確認しておくのが小売店の努めであると思います。
無難に「空ブキだけして下さい。」とだけしか言えないのでは、ハ虫類たちも浮かばれませんね。


【コクシー・ジェルクリーム】 

  


ブライドルレザーのお話

革小物・革製品好きな男性が好む皮革素材って何だと思いますか?
・・個人的な意見ですがコードバンとブライドルレザー(ロー引き革)がその2大人気素材だと思います。
根拠は無いのですが、その美しさと独特な仕上がり、
そして特殊な製法がこだわりをもつ方々のハートをつかむ理由のようです。
コードバンについては以前のシューケア情報で取り上げましたが、
今回はコードバンと肩を並べる人気素材の一つ「ブライドルレザー」についてお話いたします。

まずブライドルレザーのブライドル【BRIDLE】って何でしょうか?
辞書で調べると 名詞:馬ろく《馬の頭につけるおもがい・くつわ・手綱(たづな)の総称》とあります。
これからわかるように元々は馬具の素材として使われていたものです。
そういえば当社のメイン商品の一つであるサドルソープのサドル【SADDLE】も馬の鞍がその語源ですので、
馬具と革というのはとても密接な関係ですね。

そして、ブライドルレザーのイメージはなんと言ってもイギリス・英国でしょう。
ブライドルレザーを主力な素材としているホワイトハウスコックス社もイギリスの会社ですし、
ブライドルレザーそのものを生産している有力タンナー(皮革製造メーカー)の多くはイギリスです。
コードバンがアメリカを象徴する皮革であることを考えると対極的で面白いところであります。

ではブライドルレザーとはどのような皮革なのでしょうか?素材は成牛の革を使用しています。
フルグレインカウハイドと呼ばれていますが、
フルグレインとは牛革のぎん面(皮革の表面、上部)と繊維質を含んだ表層部分のことで、
カウハイドは生後2年以上の牝牛の革という意味です。
この革は厚くて丈夫という最大の特長があり馬具などに使用するには最適な素材の一つといえます。

そしてこの丈夫な牛革を鱈(タラ:COD)の油でなめしてから、
ロウ分(蜜ロウなど)を染み込ませてブライドルレザーは作られます。
ちなみにイギリスの伝統的ファーストフード「フィッシュ&チップス」のあの魚フライはタラ(コッド)です。
だからイギリスでコッドオイルがたくさん取れて、なめす時に使っていたのかな・・等と想像力を駆り立てます。
・・・あまり関係ないかもしれませんが(笑)。

そして、およそ10週間以上の長期に渡りロウを染み込ませるので、
新品のブライドルレザーには“ブルーム”と呼ばれる白いロウ分の粉が表面に付いています。
ある意味この白い粉がブライドルレザーの最大の特色かもしれません。
このように製造にかなりの手間をかけ、特別なロウ分や油分をふんだんに使用していますので、
皮革そのものの価格はかなり高価になります。
必然的にブライドルレザー製品も高額ですが、製造工程などが理解できればそれなりに納得がいくと思います。

本題のお手入れ方法についてですが、実はそれほど難しくはありません。
新品のうちは表面の白い粉をホースヘアー(馬毛)ブラシなどでブラッシングして光沢感を出して下さい。
ブライドルレザーの製品を購入すると、よく販売員の方がブラシで粉を落としてくれるのですが、
その後もロウがしっかりと皮革に馴染んでいるので、表面から徐々にロウが出てきます。
よってしばらくの間はブラッシングだけで十分です。

余談ですが・・新品のブライドルレザーの儀式のような、
白い粉を最初に落とす作業を自分で行ないたい方は販売員の方がブラッシングする前に
申し出た方が良いかもしれません。。

話がそれましたが、ブライドルレザーに含まれているロウ分も永久的ではありません。
時間の経過とともにロウ分が枯渇してきますので、
乾燥が進みブラッシングだけでは光沢が出なくなってきます。
その時はウォーリー・クリームエッセンシャルでロウ分と潤いを与えながら
ブライドルレザーのもつ素晴らしい光沢感を蘇らせることができます。

また、前述しましたが表面はとても丈夫なのですが、皮革が厚い分凹みのような傷は入ってきてしまいます。
でも、それもブライドルレザーの味だとご理解下さい。
上記の通りお手入れはそれほど難しくありませんので、是非一度、
ブライドルレザーの革小物を持ってみてはいかがでしょうか。

ブライドルレザーは素材一つで、持っている人が“キラッと輝いて見える”類まれな皮革素材の一つです。
よく磨き込んだブライドルレザーの革製品を持っていれば、
それだけであなたも英国的なジェントルマンになれる!・・・かもしれません。


【ウォーリー・クリームエッセンシャル】

■ブライドルレザーのお手入れ方法■



無色のクリームのお話

「デリケートクリームとアニリンクリームそしてこの無色の靴クリームはどう違うのですか?」
接客の際にしばしば聞かれる質問の代表格です。
確かに裏のラベルを見れば種類は3つが全て“乳化性クリーム”で
色も“無色”となればそんな疑問を持つ方がいても不思議ではありません。
今回は皆様の素朴な疑問「無色の乳化性クリームの謎!?」に迫りたいと思います。


まず無色の乳化性クリームはなぜあるのでしょうか?
いくつかの理由がありますが、一つは色が合わない靴などに無色を使用するケース、
もう一つは靴が新品のうちは補色の必要が無いので万能な無色を使用するケースです。
無色は補色力が無いものの「栄養(保革)」「潤い補給」「ツヤ出し効果」を与えますので、
良い状態を保ちながら、乾燥による色アセも防止するなど効果抜群です。
カラーのクリームと違い、靴のオリジナルのカラーを濃くしないで保つというメリットもあります。
「それなら無色のクリームだけあれば良いのでは・・?」
そんな質問を頂くケースもあるのですが、それは違います。

確かに無色の乳化性クリームを使用していれば皮革に潤いと栄養分が入り、乾燥による色あせは防げます。
しかし、革靴やパンプスの場合はどんなに気をつけて履いていても、
こすってしまったり、踏まれたりするためキズは避けられません。
キズを補色しようとすれば、靴と同系色の乳化性靴クリームが必要となります。
特に靴の場合はキズが入りやすいという特性から「絶対に必要!」といっても過言ではありません。

ちなみに以前一般のお客様で、数年間無色のクリームだけを使い続けているという靴をお持ちいただきました。
稀なケースなので興味深く見させていただいたのですが(失礼しました)見れば皮革の状態は良いものの、
全体がかなり白っぽくなっていました。
これは皮革のシボ(シワ)の間にクリームが根詰まりしていたためです。
無色のクリームは完全な透明では無いので大量に入り込んだクリームが、靴を白く見せてしまっていたのです。
(もちろんステインリムーバーで簡単にとれました。)

話が長くなりましたが、本題に移ります。
ご存知の通り当社の代表的な無色の乳化性クリーム(ビン入り)には
「M.モゥブレィ・デリケートクリーム」
「M.モゥブレィ・アニリンカーフクリーム」
「M.モゥブレィ・シュークリーム」
の3つがあります。
全て無色で乳化性です。

具体的に何が違うのでしょうか?
乳化性クリームは以前シューケア情報でお話しした通り「水」「油」「ロウ」を混ぜ合わせて作られています。
いずれも皮革にしみ込むと皮革の色は濡れたような状態になるので色が濃くなります。
但し水(水分)はすぐに蒸発しますので一瞬色が濃くなっても、色は元に戻るのです。
やっかいなのは「油」と「ロウ」です。
油やロウは皮革に馴染むと繊維に定着してなかなか抜けません。
色が濃くなったまま定着しますので、シミやムラになるケースはこのような場合なのです。
クリームも油分が多ければ多いほど“薄い色の皮革”や
“ソフト仕上げの繊細な皮革”に対してはシミやムラができる可能性が高くなります。
デリケートクリームやアニリンクリームは、そんな繊細なソフトレザーに対応するために、
一般の靴クリームよりも油分とロウ分の割合を減らし、水分を極度に多くしています。
つまり「クリームに含まれる油分やロウ分があまり皮革に残らない」=「シミができにくいクリーム」
として開発されたものです。

そして2つのクリームともソフトレザー用のクリームなのですが、
アニリンクリームはデリケートクリームよりも少しだけロウ分を多く配合しているので、
デリケートクリームは光沢があまり出ないのに対してアニリンクリームは透明感のあるツヤが残ります。
つまり2つのソフトレザー用のクリームで
「ツヤなし(マット仕上げ)」→デリケートクリーム、
「ツヤあり(光沢仕上げ)」→アニリンカーフクリーム
とご理解いただければわかりやすいと思います。

またデリケートクリームは光沢を出すロウ分がほとんど配合されてないので表面がさっぱりと仕上がります。
(表面にはほとんど成分が残りません)
したがってレザーウェア、ベルト、財布、バッグ、ソファ等の様々な表革製品に適しているのです。
M.モゥブレィブランドが誇る「デリケートクリーム」「アニリンクリーム」「シュークリーム」
という3つの無色の入荷製クリームには、このようにそれぞれの役割分担があります。
ご使用になる皆様が3つのクリームに的確な仕事を与えてあげて下さい。
そうすればそれぞれの存在意義が増すと確信しております。
・・・ちょっと大げさですかネ。



【M.モゥブレィ・デリケートクリーム】


【M.モゥブレィ・アニリンカーフクリーム】

【M.モゥブレィ・シュークリーム】


■スムースレザーのお手入れ方法のご紹介■



「雨で靴にシミができてしまったのですが・・。」
この手のご相談が増えるのが梅雨の時期です。
大切な靴が雨でシミになれば誰でもいやな気分になります。
しかし色々と相談しても直し方がわからない・・。
そんな時「それは簡単に直りますよ!」と言われれば、どんなにうれしいことでしょうか。
今回は梅雨の困り事「雨ジミ対処法」についてお話しをしましょう。

はじめになぜ雨ジミはできるのでしょうか?
雨ジミができる原因は部分的に靴が雨に濡れて、"濡れてしまった部分"と"濡れていない部分"が存在して、
そのまま乾かすと(特に薄い色の靴は)"雨に濡れた部分"は色が濃くなり、皮革が硬化します。
それに対して"濡れていない部分"は変化が無いので、
"濡れた部分"と"濡れてない部分"の違い(差)がシミあるいはムラということになり、
これが一般的に「雨ジミ」と呼ばれるものです。

特に紳士靴の場合はコバのインクなどが
雨と一緒に靴のアッパー(ソールより上部全体のこと)に上がってきてシミをよりガンコなものにします。
これが革靴に雨ジミができる原理なのです。
雨ジミができてから「しまった!!」と思った経験は、どなたにもあると思います。

そして雨ジミを取るために市販の靴用クリーナー(中性クリーナー)で擦ってもシミは取れるどころか、
かえって目立ってしまい・・・
それならと同色の靴クリームで隠そうと塗ってみたもののシミは隠れず・・・
本当に大事件(!?)となってしまいます。
"雨ジミは取ることができない"という概念が日本全国にまん延していて
「革靴にとって水は大敵!」の間違った法則を作り出しています。

それでは冒頭の「それは簡単に直りますよ!」はなぜなのでしょうか。
簡単といっても全ての雨ジミが直る訳ではありません。
しかし雨ジミの理屈さえわかっていて、すばやく対処すればほとんど問題ありません。

まず前述した通りシミができる原因は、"濡れて無い部分"と"濡れてしまった部分"のトーンの違いです。
部分的な差がシミを作り出すので、それなら全体を濡らして、
変な言い方ですが全体をシミにしてしまえば、色が濃く、皮革が硬化しても全体的に均一に乾くのでシミにはなりません。
(正確に言えばシミに見えません。)
雨に濡れた靴は良く絞ったタオルなどで、すばやく靴全体を均一に湿らして、陰干しして下さい。
手品の種明かしではありませんが、たったこれだけのことです。

もちろん「靴(革)が固くなりませんか?」と不安になる方もいらっしゃると思いますが、
だからこそ雨で濡れたら「サドルソープ」なのです。
「M.モゥブレィ・サドルソープ」は手を洗う普通の石鹸と違い、皮革の柔軟性を保つための成分を含んでいるので、
通常は乾燥すると硬く仕上がる皮革もしっとりソフトに仕上がります。
そうです雨で濡れた時こそ靴を洗う最大のチャンスなのです。
(注意:雨ジミでも時間が経過しているものについては、
皮革にシミが定着して、直らないものもあります。とにかく早めの対処が重要です。)

また「防水をたっぷりかけていたのに雨で靴にシミが・・・。」というご相談も少なくありません。
もちろん防水力の強弱はメーカーや種類によって異なりますが、
それよりも皮革の乾燥具合で雨ジミのでき方が変わってくるのです。
油分や潤いが無くなって劣化している革靴は水が染み込みやすく、
そんな乾燥状態で防水スプレーをかけても表面的に水が入りやすい状態です。
靴のお手入れがしっかりとしてあれば防水スプレーの効き目も相乗効果でアップしますし、
雨で濡れた時に雨ジミができる確率もグッと下がります。

以前雨ジミの説明をする為、R&Dのスタッフ数名の靴で雨ジミ靴をあえて作ろうとしました。
しかしケアしてある革靴は雨で靴が濡れても、皮革になじんでいる油分や潤いで、
革に染み込んだ雨はすっと広がっていきます。
そのため想像しているほど簡単に雨ジミはできません。
乾燥している靴は濡れた部分に雨(水分)が深く入り込み、広がらずにその部分に残りますので雨ジミができやすいという訳です。

とにかく大切な靴を守るためには防水スプレーだけに頼るのではなく、マメなケアを心がけることがむしろ重要です。
「防水スプレーだけで雨の日は大丈夫です!」的な話をしている方々を否定する訳ではありませんが、
防水力をつけるには"お手入れ(基本ケア)"+"防水スプレー"が雨の日の最強コンビということなのです。

今回のお話で雨の日に革靴を履くことが怖くなくなれば・・いや楽しみになってもらえれば、
R&Dの存在意義もより深まり、我々のモチベーションも上がります。
これを機に今後皆様から「靴の雨ジミ」お悩み相談ではなく、楽しく対処できたご報告をスタッフ一同心待ちにしております。


【M.モゥブレィ・サドルソープ】 

■サドルソープの使用方法■





「靴のコバの部分はどのようにお手入れすれば良いのですか?」
靴に対する消費者の興味が高まる中、一昔前ではあまり聞かれなかったような質問が増えてきました。
「靴のお手入れといえば、アッパー部分と相場が決まっているもの!コバなんて気にする必要ないよ。」
という人も多くいるかと思います・・が、いやいやそれがなかなか馬鹿にできないのです。
どうでもいい様で実は良くない!
そんなさりげない靴の裏技的なメンテナンス「革靴のコバのお手入れ」について今回はお話をしましょう。

そもそも靴のコバはどんな役割を果たしているのでしょうか?
グッドイヤー製法の場合は靴底とアッパーを縫い合わせる場所で、
マッケイ製法ではある意味で飾り(?)にしか思っていない人も多いようです。
しかし、実は想像以上に靴のアッパー(靴の甲部:ソールより上部の本体部分)をキズから守っているのです。

以前、コバの部分がアッパーより出ていない靴を履いたことがあります。
履き心地やデザイン性は別にして、サイドの部分にコバが無い状態で歩いていますので、
壁などにぶつかると、ダイレクトにアッパーのサイド部分がキズになります。
少しでもコバがせり出しているとコバが先に壁などにぶつかり、キズから靴(アッパー)を守ります。
車で例えるならバンパーの様な役割でしょうか。
そんな経験をしてから「コバはこんな仕事もしているんだ」と気づき感心したものです。

また話が少しそれますが、コバのサイド部分を斜めに切り込みをいれて仕上げる「矢筈(やはず)仕上げ」や
コバの縫い目の上にロウを置いて飾り付ける「ロウ目付け」など、"日本の靴職人技!"
といわれる独特のコバ仕上げもあるくらい、
日本人は伝統的にコバに思い入れがあるのです。
靴を履いてケアをしているうちに、コバは靴を縫い合わせる場所という認識から、
キズを靴から守る防御壁へと頭の中でコバの立場がはっきりと変わりました。

防御壁であるコバは当然キズが付きやすいのでこのキズを補修していくことが大切です。
元々コバは靴を作るときにアッパーとソールを縫い合わせ周りの部分を硝子の破片などで漉いていきます。
当然革ですので毛羽立っているのですが、コバ用のインクを使用して色を付けるのと同時に、
専用のコテで表面をなめらかにしていきます。
一般的には完成させる時の仕上げにはコバインクとコテを併用するのですが、
キズ付いたコバにはなぜかこのコバインクだけではうまく使えません。
そもそも慣れていない我々にこのインクの扱いも難しく、インクを垂らしてしまったり、
違う部分に塗ってしまったりと当社にその手の相談もかなりあります。

そんな現状の中、実はこのコバのケアの悩みを解決した商品があります。
「M.モゥブレィ ウェルトクリーム」というコバ専用の着色、保革クリームです。
これまでのコバの着色の悩みを吹き飛ばしてしまいそうなこの商品の使用法はとても簡単です。
布に適量のウェルトクリームを取り、コバのサイドの部分に塗っていきます。
仕上げにきれいな布で空ブキをすれば、
コバ部分にきれいな"光沢"と"カラー"がよみがえり本当に靴がきれいになります。

染色力の高いクリームですので着色力も高く、また保革性を与える効果もあるという、
一粒で二度おいしい商品に仕上がっています。
お部屋の掃除もそうですが、中央の部分ばかり掃除して、
隅の部分にはホコリが残っていると部屋があまりきれいに見えないということがよくありませんか?
靴も同様にアッパーだけを一生懸命お手入れして美しく仕上がっていても、
コバにキズがたくさん付いていると、本当の美しさは表現できません。

コバという見逃されがちな部分もしっかりとお手入れすることで靴の寿命を延ばし、
革靴の持つ本来の美しさが引き立ちます。
目立たない部分ではありますが、そんな部分にまで徹底的に美しさを追求する。
是非、日本的美学を靴のコバに込めてケアしてみて下さい。


【M.モゥブレィ・ウェルトクリーム】






足に合わない靴を履いてしまった時ほど辛いことはありません。
「買う時にもっと慎重に試せば良かった・・・・・。」と後悔しても手遅れです。
擦り傷や切り傷と違い、身体の芯までうずくような痛みは何ともやりきれず、帰宅するまで地獄の苦しみを強いられる・・・。
こんな経験は私ばかりではないと思います。

皆さんもご承知のように人間の足や手、耳、目、眉のようにふたつが左右対称になっているものは、
必ずしも形や大きさが同じではありません。
確かに、自分を鏡に映してみても他人の顔を観察しても(じっと見つめないで!)なるほど納得!だと思います。
しかし、これらの中で足ほど左右が違っていて不都合なものはありません。
左右が同じ大きさに作られている靴は、足の差が大きい人ほど合わないという事になります。

例えば、手袋のように多少違っていても手を包み込めさえすれば、その機能を果たすようなものと違い、
靴は足と合っていなければ、靴ズレを起こしたり、歩行姿勢を悪くしたりとその本来の機能を果たしません。
また、合わない靴を無理して履き続けた結果、足の変形を起こしその苦しみを味わっている人達も大勢います。
しかし、そんなケースでちょっと声をかけて頂きたいのは「ウォーリー・レザーストレッチ」という名医の存在です。
当たって痛いところに靴の上からシューッとスプレー、そのまま歩き続けると革が柔らかくなり、
足の圧力で伸びて痛みも解消という地獄に仏のような商品であります。

日本で初めてR&Dがこのスプレーを輸入したのは第一次ブーツブームのころでした。
足の細い人、太い人にかかわらず(おっとセクハラ?)みんなブーツを履きたがり、
靴屋さんは絶好のチャンスとばかりブーツ伸張器で筒を伸ばした。
この時併用したのがこのスプレーで一躍脚光を浴びたものです。

本当に効くのかって?原理は簡単なのです。
つまり"革は濡れれば伸びる"ということです。
「じゃあ水でも良いではないか」という人もおりますが、その通りです。
ただし水では革に浸み込みにくい、乾きにくい、固くなる、というデメリットがあります。
それらの問題点を全て解消したものが「ウォーリー・レザーストレッチ」で中身は皮革の柔軟剤なのです。

もちろん効かない革もあります。
ガラス革やエナメル革のように、表面が塗装されたものやスエードのようにスプレーが銀面に浸透しない革、
厚い革などは伸張器に頼るしかありません。
「それなら内側からスプレーすれば」という賢い(?)意見もあります。
そして現実に内側からスプレーするタイプの製品も多く市販されています。

しかし(ここがポイントです!)靴の内側には裏革(ライニングレザー)と呼ばれる足当たりの良いソフトな革がはってあります。
ただでさえ伸びやすいこの革に更にスプレーをして、これ以上何の効果を求めるのでしょうか。
固いのは表革の表面(革の断面図を思い出して下さい)なのです。
これで効果を出そうとすれば、スプレーの液をズブズブに濡らさなくては裏革を通過して更に表面には届きません。

だったら表面に直接スプレーすれば、少量で最大の効果が得られるというものです。
「エッ!シミが怖い?」大丈夫ですウォーリー・レザーストレッチをお使いください。
また、両面スプレーしている方、裏側の分は無駄づかいです。
こんなスプレーひとつでもちょっとメカニズムを理解しただけで何が正しいのか、また商品の良し悪しまで判断できます。
そして「シューケアって面白いんだァ・・・・・。」てことにも。


【ウォーリー・レザーストレッチスプレー】

   




「エナメル革」という単語からイメージするものは何でしょうか?
一般的にまず連想するものは、フォーマルな場で履くエナメル靴だと思います。
ピカッと光ったエナメルの輝きは、フォーマルなタキシードとすばらしく調和がとれ、その美しさがより引き立ちます。
また、近年では女性物の革製品において、
そのエレガンスなファッション性から様々なアイテムに使用されている素材のひとつでもあります。
今回はそんなフォーマル&エレガンスの代名詞「エナメル革」についてお話をしましょう。

前述の通りエナメル靴はフォーマルな場では欠かすことのできない必須アイテムです。
ではなぜタキシードにエナメル靴を履くようになったのでしょうか?
一説には昔の舞踏会などで、相手のドレスの裾を靴墨で汚すことの無い様、
エナメル靴が履かれるようになったといわれています。

また、日本ではエナメル革の通称で親しまれていますが、欧米では「パテントレザー:Patent Leather」とも呼ばれています。
語源は1800年代にアメリカで皮革製造業者がエナメル素材を開発し、特許(パテント:Patent)をとったことに由来します。
ちなみにR&Dで取り扱っているエナメル革のケア用品「ウォーリー・ラックパテント」の名称は、
"エナメル"を意味するドイツ語の「ラック」と英語の「パテント」を組み合わせた造語であります。

それでは、エナメル革の特徴について少しご説明します。簡単に言えば皮革の上にウレタンの樹脂を吹き付けてある素材です。
間違いなく"革"であるのですが、表面的には"革"ではありません!?
少し違うかもしれませんが、革の上に柔らかいアクリルやプラスティックを貼り付けているような感覚だと思ってください。
つまり一般の革靴のようにお手入れをして柔軟性が出たり、革の雰囲気が出るものではありません。

また、生産の面では、表面を樹脂で覆ってしまう為、下地の原皮はキズやムラがあっても隠れてしまいます。
よってガラス革同様に量産しやすい皮革なのです。
1990年代半ばにヨーロッパで世界初の狂牛病(BSE)が流行した時には、処分された牛の原皮が大量に市場に出回ったため、
量産しやすいエナメル革やガラス革が大流行したという、本当とも嘘ともとれるような話もありました。

そんなエナメル革のお手入れ方法や保管の注意点ですが以外に知られていません。
素材自体からまぶしいほどの光を放ち表面がツルっとしているので、印象的には汚れにくそうな素材ですが、
実際にはホコリや指紋などが付着しやすく長い間お手入れをしなければ汚れは落ちにくくなります。
しかし、お手入れはシンプルです。エナメル専用の「ウォーリー・ラックパテント(無色のローションタイプ)」を柔らかい布に取り、
全体を磨きこんでいきます。
表面の曇りや汚れが取れて美しい光沢がきれいに蘇ります。
ホコリもラックパテントを使用した後であれば、空拭きで簡単に取れるようになります。
ケアにそれほどの手間はかかりませんので、あとはマメさが重要なポイントです。

その他の注意点としては、靴の場合はエナメル素材の特性から、履きジワが深く入ります。
そこからヒビ割れを起こしやすいので、保管の際は、しっかりとシュートリーでシワを伸ばしてください。
また、暑さや寒さにも敏感で、夏場の湿気が多く暑い時期になるとお客様から
「エナメル靴の表面がベタ付いてしまったのですが・・?」
「エナメルのバッグが他のバッグとくっついてしまいました・・?」
など、お助けコールが大変多くなります。
暑さで表面の樹脂が溶け出してしまいますので、残念ながら直す方法はありません。

また冬の寒さも大敵で、極度な寒さはひび割れの原因となります。
いずれにしても保管には細心の注意が必要です。
つきなみではありますが、適度な温度、湿度の場所で保管しながら、
定期的にお手入れを欠かさないことがエナメル製品を長持ちさせるコツなのです。
繰り返しになりますが、エナメルは表面が樹脂系で仕上げられていますので、キズが付いた場合の補色、補修が不可能です。
エナメル用のローション等で黒色用のものが存在しますが、ほとんどキズは直りません。
ダンスの時に相手のドレスの裾を汚さないということから、フォーマルに履かれるようになったエナメル靴なので、
黒色のローションを使用するとその趣旨に反する様な気持ちにもなります。
R&D的な見解からすれば、エナメル革のお手入れは無色一本で十分なのです。
「靴墨で相手のドレスの裾を汚さない・・。」
古き良き時代の由来、なごりは大切にしたいものです。


【ウォーリー・ラックパテント】

■エナメル革のお手入れ方法■





「レザーローション」という商品は古くから一般的に販売されているものであります。
しかし「どんな用途で使用するの?」という質問には
「レザー用のクリーナーだ。・・いや保湿剤だ。・・いやいやクリームみたいなものだ。」
など大変あやふやです。
今回はそんな皮革用のレザーローションとはいったい何?
というなぞに迫りたいと思います。

そもそもローションとは一体何を意味するものなのでしょうか?
広辞苑でその意味を調べてみますと<【lotion】= 洗顔、入浴後などに肌を整える化粧水>となっています。
化粧品の世界では、化粧水つまり潤いをあたえる水のようなものであるということがわかります。
それではレザー用ローションはどうでしょうか?
靴には化粧水などありませんので、どちらかというと乳液的なものにあたります。
また、レザーローションの説明書を見ると、
ほとんどのメーカーは"汚れを落しながらツヤを出しますので便利です"的なニュアンスが多いように思われます。

このように日本の市場で販売されているレザーローションは
どちらかといえば汚れ落しの意味が前面に出すぎていることが多く、
シューケア情報の「クリーナーのお話」で書いた日本独特の中性クリーナーと同じようなニュアンスです。
使用してみると、それほど汚れが落ちるわけではなく、
磨きこんでいると確かに光沢がでてきて、中性クリーナーと同様に汚れは落ちません。
R&D的な考え方でいえば、靴の汚れというのは、表面についたホコリや曇りだけではなく、
皮革に残っている古いクリームやワックスを除去することにあります。
したがって汚れ落しというアイテムとしてレザーローションとステインリムーバーを同一視している大きな勘違いも多いのですが、
ずばり180度違う商品ということになります。

それではレザーローションには一体どんな使い道があるのでしょうか?
実はスムースレザー(表革)でも靴とバッグなどの製品の種類によってケアの方法論が少し異なります。
ケアにおける靴とバッグの大きな違いはその仕上がりです。
靴は商品の特性上、常に地面に触れていて、踏まれたり、ぶつけたりと
キズや汚れのことを考えればその条件は"悪条件"といえます。

一方バッグや鞄などはそれほど地面に触れることも無く、
雨が降ったりしても結構(傘などをさすことにより)守られていますので靴に比べると"好条件"です。
そのような理由から、靴の場合は新品であってもワックスやクリームなどでハードに仕上げをしているケースが多いのですが、
バッグ、鞄は肌触りも良いナチュラル仕上げが大多数です。
つまりバッグ等の表面にはワックスやクリームなどがのっていないため
ステインリムーバーの必要性はそれほどありません。(使用できないという意味ではありません。)
ワックス、クリームを落す必要がないのでレザーローションのように汚れ落ちは弱くても
伸びが良くツヤ、保革性も兼用しているものが、バッグ等の様に面積の広いものにとても有効なのです。

但し、くどいようですが、靴に対しては汚れ(ワックスや油分)がほとんど落ちないので、あまり適していません。
日本の市場ではこういった意図、意味をはっきり区分けすることなく、
"栄養と光沢を与えながら汚れを落しますので便利です。"的な販売手法が長年に渡り定着してきたことや、
R&Dが言う「靴の汚れ」の定義である古いクリームとワックスを含めた広い意味での汚れというものが理解されていないために、レザーローションはその存在意義が不明なままに販売され続けてきたのであります。

上記の意味からもレザーローションはバッグ、鞄、革小物などに使用する乳液状の保革・ツヤ出しで
おまけ程度のクリーナー的効果も持つという製品ですので、
靴用クリーナーの用途を前面に出して販売しているのはいかがなものかな・・?と疑問符を付けざるを得ません。
またツヤ、保革という点で「M.モゥブレィ・デリケートクリーム」や「M.モゥブレィ・アニリンクリーム」とはどう違うのですか
という質問もありますが、基本的にデリケートクリームはロウ分や油分がほとんど入っていないため
(皮革がもつ自然なツヤには仕上がりますが)光沢感はあまり得られません。
したがってマット(ツヤ無し)に仕上げたい場合や、表面をさらっと何も残したくない場合はデリケートクリームがベターです。
またアニリンクリームは少量のロウ、油分を含ませ透明感のあるツヤを出しベールを作るものですが、
クリーム状のため面積の大きい皮革製品には若干不向きです。

このように商品の特性を理解し適材適所の製品でケアして頂ければ、
皮革製品のお手入れがシンプルでより楽しいものとなると確信しています。


【ウォーリー・クリームエッセンシャル】







路上にて有料で靴を磨いている"靴磨きおじさん"を見かけることも最近では少なくなってきました。
昔ながらの装いと道具がトロな感じで、終戦後から高度経済成長期の日本を思い出させるような懐かしい光景であります。
そんな"靴磨きおじさん達"がこよなく愛する缶入りの油性ワックスについて今回はお話をいたします。

まず平べったい缶に入っている油性ワックス、この正体は一体何なのでしょうか?
乳化性タイプと呼ばれるビン入りの乳化性クリームは油とロウに"水"が加わっているものであります。
油性ワックスとは簡単にいえば乳化性タイプに入っている水が無い、油とロウだけで造られているものなのです。
初期の靴クリームはこの油性ワックスでしたのでそういった意味では"元祖靴クリーム"と言えます。

しかし、この乳化性クリームと油性ワックスは製品分類として大別すれば
靴クリーム(あるいは靴墨)として同類にみなされますが、用途は大きく違います。
乳化性クリームは水分があるので皮革に浸透して潤いを与えるのに対して、
油性ワックスは皮革の表面にロウの膜を造って優れた光沢と防水力を与える仕上げ剤的な製品なのです。

余談ですが一般の方の多くは「乳化性クリームと油性ワックスは容器が違うだけ、
つまりビン入りと缶入りの違いだけである。」と思っていますので、
"栄養クリーム"と"仕上げ剤"の違いを説明するだけで
「へぇ、へぇ、へぇ!」と「トリビアの泉」的な驚きを与えることができます。(※注意!これはむだ知識ではありません!!)

話がそれましたが、このように油性ワックスは水分を皮革に与えないために、
ワックスだけでお手入れしていると、革靴の通気性が悪くなり、また乾燥も進みひび割れの原因となります。
あくまで基本は乳化性クリームで潤いを与え、その後ワックスでより鋭い光沢感と防水力を与えるのが正しい使用法です。

したがって、R&D的考察で言えば、靴に大量のワックスを使用することは「悪」ということになります。
ワックスは薄く全体にかけた後、徹底的に磨き込めば十分な光沢感と防水力が得られます。
「それでは、なぜプロである靴磨きのおじさん達が油性ワックスをべたべたと塗りたくっているのですか?」
といった質問も受けますが、この答えは簡単です。
彼らは靴のお手入れ(シューケア)ではなく靴磨き(シューポリッシュ)のプロだからであります。

終戦後の物資が乏しかった時に、油性ワックスはアメリカの進駐軍とともにやって来ました。
シューシャインボーイと呼ばれた子供たちの、ワックスだけで靴磨きをする手法が
日本の靴磨きのスタンダードとして定着したのです。
1950年代には「東京シューシャインボーイ」「ガード下の靴磨き」など、
大ヒットした流行歌もあったくらい街角での靴磨きは日常的な光景でした。
そのなごりが今日も残っているという訳であります。
(※注意!もちろん靴磨きおじさん達の中にも、靴の素材をいたわりながらお仕事をされている方もいらっしゃいます。)

また、先ほどワックスは大量に使用しない方が良いと申し上げましたが、大量に使用して良いケースもあります。
それはつま先やカカト部分といった芯が入っている部分に対してです。
これらの部分はもともと通気性もあまり無く、歩行時も可動しないので厚めにワックスを塗ってもOKです。
つま先部分とかかと部分だけが極度に光り輝き、靴全体に光のトーンができてファッション性もアップします。
最近の靴ブームも手伝って人気のある仕上げ方法で"鏡面仕上げ"あるいは"ハイシャイン"と呼ばれています。

ところで、冒頭「最近、路上の靴磨きのおじさんやおばさん達の数がどんどん減っている」と申し上げましたが、
実際のところは?・・・・・・答えは「YES」であります。
実は路上での靴磨きは許認可制になっていて、現在お仕事をされている方々以外に新たな許可はおりません。
したがって現役の方が廃業するたびに、路上での靴磨きの光景はどんどん減っていくのであります。
・・・・・・「へぇ、へぇ、へぇ!」これはちょっとした"むだ知識"になりませんかねぇ!?

【M.モゥブレィ・ハイシャインポリッシュ】

■スムースレザーのお手入れ方法のご紹介■





夏の訪れとともにファッションもあざやかなライトカラーが中心になって行きます。
その中でもとりわけ夏の主役の色といえば、やはり「ホワイト」です。

新しい純白のシャツやパンツそしてシューズはまぶしいほどに
夏の青空とコントラストされてさわやかさを演出します。

しかし、そんな透き通るようなホワイトカラーも現実的な話をすれば、
汚れ、シミ、黄ばみなど、色のさわやかさとは対照的に悩み多き色でもあります。
そして、現在人気のホワイトレザーもスムースレザーや起毛皮革など、素材や仕上げは様々です。
特に、流行の白い起毛皮革は「ホワイトバックス」と呼ばれ注目の的になっています。
ちなみにホワイトバックスの本来の正式名称は「ホワイト・バックスキン・シューズ(White Buck Skin Shoes)」で
白い鹿革をバフしてチョークで仕上げをしていたものを指していました。
ホワイトヌバックの略語ではありませんので、白いヌバックを限定して呼んでいる人もいるようですが、
定義的にいえば白いスエードもホワイトバックスということになります。  
そんな人気のホワイトレザーについて今回はお話をしましょう。

まず白という色の特性を考えてみたいと思います。
白色はシャツやパンツなどのウェア関係の繊維として多く使用されています。
綿、麻、ウール、シルク、またポリエステルなど様々な種類の繊維も本来の色は、
いわゆる白ではなく黄色味を帯びています。
これらの素材をまぶしいほどの白にするために、白色に染めるのですが、
この時に最も多く使用されているのが「蛍光増白剤」とよばれる白い染料の一種です。
簡単にいえば、蛍光増白剤を繊維に加えると繊維自体に青色の光を与えるような効果がでます。
元々黄色味を帯びたものに使用すれば青い光が加わり(蛍光する)まぶしいほどの白に見えるというわけです。

したがって「蛍光増白剤」は染料の一種ではありますが、純白の色をした"白い染料"という訳ではありません。
つまり白い染料は現実には存在しないということになります。
このように白色に見えるものも本来、少し黄ばんでいますので、使用年数とともに少しずつ黄ばみが戻ってきます。
靴もしかりで最初はきれいなホワイトカラーも年数とともに黄ばみが目立ちはじめます。

また、靴の場合は汚れが付きやすい足元の製品であるという特性上、黒ずみやキズなども入ってきますので、
ウェアやシャツ以上にお手入れが厄介なものに感じられるでしょう。
では、ホワイトバックスのお手入れはどのようにすれば良いのでしょうか?
基本的なお手入れは、他の色のスエードやヌバックと同じ方法でOKです。
特にホコリが付いただけでもきたなく見えますので、「ワイヤーブラシ」でまめにブラッシングをして下さい。
さらにブラッシングで落ちないがんこな汚れは
「ヌバックブロック」のような消しゴムタイプの汚れ落としでその都度落とします。
最後に保革の意味で「ウォーリー・スエードフレッシュ(無色)」をスプレーして皮革のしなやかさを保ちます。

しかし一番問題となるのが補色です。先ほどもご説明した通り純白の染料(染色)はありません。
白は基本的に顔料系(着色)のクリームやローションだけしかありませんので、
必然的にスエード、ヌバック用の白い補色剤は存在しません。
毛の状態のものに顔料系ペイントを塗ってしまうと、毛の風合いが無くなり駄目になってしまいます。
そこで本当の意味でのケア(お手入れ)ではありませんが
ホワイトバックスの黄ばみがひどく「もはや我慢の限界!」という状態ならば、
黒板に使用する白いチョーク(白墨)で靴全体に粉をまぶすような感覚でこすってください。
ある程度の白さがよみがえります。
ただ、これは粉をまぶしているだけですので、ごまかし程度ということで本質的な染色や着色とは違います。
残念ながら現状で白い起毛皮革を純白によみがえらせる方法はありません。
「黄ばんでくるのもホワイトバックスの醍醐味!?」と頭を切り替えるのがベターではないかと思います。

また、表革(スムースレザー)は起毛皮革とは違い白いクリーム(顔料・着色系)があります。
表面も顔料塗装されていますので丈夫です。
汚れは「ステインリムーバー」でしっかりと落とし、「白い乳化性クリーム」(参考:下記参照)をまんべんなく塗れば、
色も着色してきれいな白色が蘇ります。
汚れが落ちにくいと思っている方も多いようですが「ステインリムーバー」を使用すれば、
割りと簡単に落ちますのでお試し下さい。
今回は白という色の特性上、染料や顔料など若干わかりにくい話だったと思います。
もしわかりにくかった方は、頭の中を一度「真っ白」にしてから再度お読み下さい。

(参考)乳化性クリームのホワイトは必ず着色する顔料系のものとなります。
     他のカラーの乳化性クリームは着色性ではありませんので、
     同じ乳化性クリームであっても全く性質が異なります。 

【ウォーリー・ホワイト】






「靴の革底のお手入れはどうすれば良いのでしょうか?」
「ミンクオイルを革底に塗れば良いと聞いたのですが・・・?」
「革底は何もしない方が良いと言われたのですが・・・?」
近年の靴ブームのおかげ(?)でしょうか、靴の革底についてのご質問も珍しいことではなくなりました。
そこで今回はこの靴ブームが生んだ質問といっても過言ではない、靴の革底のケアについてお話しをしましょう。

まずこの"革底"のお手入れについて話をする際の根幹をなすものが
「そもそも靴の革底をお手入れする必要があるのでしょうか?」という素朴な意見です。
もちろん"靴底のお手入れの必要は全く無い"と"絶対"という事はありません。
また、様々な考え方や意見は尊重されるべきだとは思いますが、
プロフェッショナルな立場からみたR&D的見解を言わせて頂きますと、
「靴の革底も最低限のお手入れは必要である。」という考え方です。

最大の理由は、皮革には常に適度な潤いが必要であるということです。
乾燥した皮革は革切れ(皮革の繊維のすり切れ)を起こします。
例えるならば、冬場の寒い時期、乾燥した肌は赤切れや傷付きやすくなるのと同様、
乾燥が進んだ靴の革底は「傷付きやすい」=「すり減るのが早い」と言うことになります。
また、ソールの厚みにもよりますが革底の靴は"返り"が悪いと履き心地という点において違和感が残ります。
やはり適度に潤いと柔軟性があったほうがベターであります。
「返りが良くなりすぎるとアッパーに履きジワが入りすぎて良くないと言われたのですが。」
と相談を受けたこともありましたが、足の構造上"履きジワ"は入ってしまうものですので、
ソールの硬さに関係なくシュートリーを入れておけば問題にはなりません。

さらに以前、雑誌の記事の中で「ミンクオイルを革底に使用していると底が柔らかくなりすぎる為、
革底の減りが早くなるので良くない!」
というニュアンスのものを見ましたが、前述した通り、革底が減りやすくなる条件は、
ほぼ間違いなく革底が乾燥している状態です。
革底の減りが遅くなるという現象は起きても、減りが早くなるというのはちょっと考えにくい理屈ですネ。
おそらく、硬いものより柔らかいものの方が減るのが早そうといったイメージから
安易に書いてしまった記事だったと推測します。(笑)

話が少しそれましたが、一般的に靴の革底に保革剤として使われているのがミンクオイルです。
皮革に浸透し潤いや柔軟性を与え、さらに防水性が増すということで広く使われています。
もちろん適量のミンクオイルを革底に塗り込むと、状態が良くなっていくのが目に見えてわかります。
しかし、そんな革底に対して鉄壁に見えるミンクオイルにも一つ欠点があります。
それは靴が若干すべりやすくなるという点です。
道路に油がまかれていると車もスリップしやすい様に、靴の底に油を塗るわけですから当然ですが滑りやすくなります。

また、「ミンクや革底用商品の防水性は?」というご質問を頂くこともありますが、
ミンクオイル等は油が十分に浸透しオイルレザー的に皮革が変質するので防水性はかなり向上します。
しかし、濡れた路面をある程度の時間歩いていれば、じわじわと水が浸透してきますので、
どんな製品であっても革底に関しては"絶対防水"は考えられません。
以前、革底にミンクオイルを塗ってから、さらに防水(撥水)スプレーをかけて雨の中を歩いて実験しましたが、
残念ながら水は浸透してきてしまいました。
よって、雨の日は革底の靴を避ける。
あるいは革底の防水性については、あまり気にせずに
「靴が濡れてしまった時はどう対処するか」という点に重きを置くべきです。

結論を簡単に言えば、革底ケアのポイントはなんと言っても潤いと柔軟性であります。
色々とウンチクを並べましたが、靴の革底についてはあまり深く考えずにシンプルにお手入れしてもらえればと思います。
ケア不要論もありますが、靴に愛着を持って接していれば、
自然に靴の底までもお手入れをしようという気持ちになるのではないでしょうか。

【M.モゥブレィ・ソールモイスチャライザー】




「チューブか!もうごめんだョ」
「どうしてですか?」
「クリームは出てこないし、スポンジはとれてしまうし、どうしようもないよ。ナアお前」
と奥さんの同意を求めていたお客様がいらっしゃいました。
これも当社の某百貨店での実演中に、簡単なクリームを求められたのでチューブ入りクリームをお薦めした時のことです。

「それはお気の毒でしたね。性能が悪いメーカーのチューブを買ってしまったのですね。」
と言ってチューブ入りクリームの説明をしながら当社の「ウォーリー・ファッションレザークリーム」で靴を磨いてあげた。
そして、「じゃあ、だまされたと思ってもう一度このチューブで試してみるよ」と言って黒と無色の2本を買って行かれた。
靴を磨いて上げたお礼のつもりだったのでしょう。
でも、使っていただければ違いがはっきり分かってもらえる自信の商品なので、その時はそんな意味でニンマリしました。

「チューブ入りクリームは駄目だ」という人はたくさんいます。
元凶はクリームが固くなること、これが全てを駄目にする。
伸びないクリームはスポンジで塗ることが出来ず、
ブラシをかけなければ駄目と言うのではガラスビン(乳化性)クリームと何ら変わりがない。
同じ乳化性でもガラスビンとチューブの中身は同一である必要はありません。
日本であのとんでもない液体クリームがよく売れていたのも
「チューブ入りが駄目」ということが要因の一つとしてあげられるでしょう。

ではいったい何故こんなことになったのでしょうか?
それは、作り手(メーカー)のチューブに対する考え方の原点が全く違うからなのです。
「必要は発明の母」と言われるように、最初に考案した人は
「従来のクリームでは手も汚れるし、時間もかかる、革靴に良いものでもう少し楽に出来ないか・・・・」
という人たちの声をキャッチして試行錯誤をしながら考案したに違いありません。
そして万一のその製品が機能を果たさず品質が悪ければ、作っても無駄なことを知っている。

一方、販売された製品を見て、遅れてはならじと
チューブにスポンジを取り付けただけの簡単なアイデアにすぐにとびつきコピーした商品の販売を始めたメーカーのものは、
形や見た目は同じであるが冒頭の会話のような結果になり、
"チューブ入りはあまり良くないもの"というチューブに対するネガティブな一般常識が出来上がってしまったのです。
以前は、筆者もその一人であったのも事実です。
しかし、15年程前にウォーリー・ファッションレザークリームに出会ったときの衝撃は並ではありませんでした。
「今までのは一体何だったのだ!」「似て非なるものとはこのことか」
と思うほど実に素早く手も汚さず、きれいな手入れが出来たのです。

形だけ真似しても心まで真似出来なかったチューブのクリームが市場にあふれる中で、
「あッ、だからチューブなんだ!」ということをしみじみと実感し、また本当に感激したものです。
良い商品というのは自然に目的や使い方まできちんと教えてくれるものなんですね。


【ウォーリー・ファッションレザークリーム】

■スムースレザーのお手入れ方法のご紹介■





前編で防水と撥水について大まかにご説明致しましたが、ご理解頂けたでしょうか?
今回は、防水スプレーについてお話しましょう。
現在、わが国の防水スプレーの主流は、フッ素樹脂系(撥水)のオールマイティタイプです。
これ1本で、スムースレザーやスエード、また、布靴等に使用できるのでとても便利なものです。

しかし、20年程前は違っていました。
そのころはスエード用とスムースレザー用は全く別のものを使用していたのです。
何故、2種類のスプレーが必要であったかと言いますと、
当時の技術ではスムースレザーにフッ素樹脂系をスプレーすると皮革のツヤが消えてしまったからです。
そこで、フッ素系の防水スプレーはツヤを出す必要のないスエードや布地専用にしていました。
ツヤのあるスムースレザーには通気性に劣るが防水力のあるシリコンオイルをベースにしたものをスプレーし、
オイルを拭き取りながらツヤを出していたのです。

そこへR&Dが現在のオールマイティタイプ(フッ素系)「ウォーリー・プロテクター3×3」というスイスの防水スプレーを携え、
さっそうと(でもなかった!?)登場しました。
画期的でした。
何しろ、1本で全て間に合うというのですから・・・。
しかし、自信の逸品にも落とし穴が待ち受けていました。
シリコンのツヤ出し防水スプレーで慣れ親しんだ消費者や販売員の多くの方が説明書を読まずに、
当時のウォーリー・プロテクター3×3をスプレーした後に拭いてしまったのです。
靴メーカーがツヤ出し剤でピカピカに光らせていた当時の靴は、ツヤが消えてしまうというアクシデントもありました。
正しく使って頂くために時間も要しました。
しかし、良いものは良いのです。

その後、国内各メーカーも2年位の間に争うようにウォーリー・プロテクター3×3と同タイプを開発し市場に投入してきました。
ちょうどその頃、消費者センターによる各社の防水スプレーの実験結果データーが雑誌に発表されました。
特に、アニリンカーフ、ヌメ革の防水効果テストがいろいろな角度から行われた結果、
効果の薄い商品が多い中で、歴史のあるR&Dのウォーリー・プロテクター3×3が高評価を得て、私たちの確信を深めました。
当商品は今でもロングセラー商品として皆様に支持されていますが、
R&Dがよどみかけていた業界に一石を投じた意義はとても大きかった気が致します。
防水スプレーについて、使用法や効果などいろいろくわしくお話したいことはいっぱいありますが、
また別の機会にお話させて頂きます。

ただ、防水スプレーのことでひとつ気になることが巷から漏れ伝わってきます。
それは、"手入れをした後には、必ず防水スプレーをしましょう。"というキャッチフレーズです。
これははっきり言って違います。
例えば、ガラス革素材やエナメル革のように塗料や樹脂で皮革の表面を覆ってしまっているものには不要です。
また、油性ワックス(缶入り)や液体クリームを塗ってしまった靴。
そして、メーカーで仕上げ剤を使いピカピカに光らせた新品の靴等にはあまり意味がありません。
なぜなら、これらの靴はすでにベールでガードされ通気性を無くしてある仕上げの靴だからです。

【ウォーリー・3×3プロテクター】




あちらこちらのお店や売場で雨対策商品が並び始め、今年もうっとうしい梅雨の季節が始まりました。
靴が濡れると言うことは大変いやなものです。
靴の底革は傷むし、ソックスにまで水が染み込んで来ようものなら、泣きたくなるほど不快になります。
近頃はウエザーシューズという雨のオタスケマンが売場にいっぱい現れ、存在をアピールしています。
そして、靴のタグやその周辺には「撥水(はっすい)」とか「弾く(はじく)」
また、「通気性」とかいう文字がやたらと目に飛び込んできます。
そこで、今回は「防水」と「撥水」についてお話ししましょう。

従来、靴の防水というのは表面にロウや油あるいは、シリコンオイルを塗って、
水に濡れても染み込まないようにガードを作ることでした。
ガラス革(塗料で仕上げてある厚手の革)もそうです。
しかし、皮革の表面にベールをつくりますので通気性に欠けることが最大の欠点でした。
これに対し撥水とは読んで字のごとく水を弾くという意味で表面が濡れないように、
つまり水を寄せ付けないように加工するものです。
撥水効果の特に高いと言われている「フッ素樹脂」をベースにしたもので、
形は違いますがフライパン等のテフロン加工などはこのひとつです。

フッ素樹脂は織物や皮革の繊維自体にその成分が染み込みますので、
繊維のすき間を埋めてしまうことはありません。
従って、通気性には全く影響有りません。
このように、通気性を保ちながら水をはじき、
防水効果を与えるという意味で「撥水」という言葉が使われます。
そして、フッ素樹脂で撥水処理(スプレーを含む)された靴に雨が当たった時どうなるかというと、
皮革の表面は濡れるという現象がありません。
その結果、水は玉コロになって弾かれてしまいます。

では、なぜ水が玉コロになるのか?
それは、水には表面張力という力があるからです。
「表面張力」というのは、水の分子はお互いに引っ張り合っていますので、
外側にある水の分子は内側(中の方)に潜り込もうと努力(?)します。
そして同じ体積ならば表面積が一番小さい球形になるのだそうです。
水道の蛇口から落ちる寸前の水をぼんやり眺めているとそんな気がすると思います。
いずれにしても、水を弾く力、耐久時間、通気性など様々な点で、撥水と防水は違います。

そして、近年、撥水スプレーが主流となってきていますがこれは、
「防水」とは通気性が違うんだよと強調したい為、
あえて撥水と呼んでいるのです。
R&Dでは、撥水スプレーであっても防水スプレーと呼んでいます。
防水とは水を防ぐという大きな意味があり、その中に通気性と、不通気性のものがあるとの解釈です。
次回はスプレーについてくわしくお話いたします。  つづく

【ウォーリー・ヒマラヤワックス】

■オイルドレザーのお手入れ方法のご紹介■





入梅の季節がやってきました。
ジメジメとうっとうしく感じる方も多いと思いますがこの時期、草木や農作物がぐんぐん成長する時であり、
わが国の稲作も梅雨があってこそであります。
「日本は湿気の文化だ。」と言う人もいます。
昔から玄関の敷石や庭に水を打ち池やコケ生した岩を楽しむなど、湿気が生活の一部になっていました。
しかし、近代化された現代社会では湿気はむしろ敵対するものとして
われわれを困らせる存在になっているのも事実です。
今回は湿気の中でも嫌われ者の代表格である「カビ」にスポットをあててお話をします。

ご存知の通り、カビは非常に繁殖力が強く油断すればすぐ発生します。
特に、革製品にとっては大敵で、表面侵食や黒い痕跡は消すことができません。
こんな嫌なカビに対し、良いカビもあります。
きのこもカビの一つであり、カビが作り出す納豆、味噌、しょう油、お酒、チーズなど
食生活に必要なものも数多く存在します。
また、ペニシリンという抗生物質は戦後の医学界に革命的な影響を与えましたが、
これもメロンの青カビから採取したという話はあまりに有名です。

さて本題に入りますが、カビはどんなとき発生するのでしょうか。
条件は3つあります。1.栄養(汚れ) 2.高温 3.多湿で、この3つが同時に揃ったとき発生します。
つまりどれか1つだけ取り除けば良いのです。
例えば 
1.栄養(汚れ)が無ければ高温多湿でもカビにならない。
2.低温であれば汚れていても湿気があってもカビはこない。
3.湿度が無ければ汚れていても高温であってもカビはこない。
お分かりでしょうか、実に簡単ですね。

ところが実際は理屈道理にはいきません。
汚れは全部落とせるのか、日本の家庭に低温を保てる場所があるだろうか。
入梅時の湿気の無い場所は?と考えると絶望的になります。
まあ何とかなりそうなことは湿気を避けるために乾燥剤を入れたり、2Fへ保管すれば可能ではあります。
そう考えていながらズボラな小生は全く実行したことがありませんでした。
油断大敵です。
ある日曜日、下駄箱を開けたとたん鼻をつく匂いとともに真っ白にかびた靴3足が連なっていました。
「ヤラレタ!」と思いながらもこのときばかりは思いつくまま次のようにやってみました。

まず、白いカビはボロ布で払い落としその布は捨てました。(水拭きは厳禁、カビ菌を埋め込みます。)
落ちないカビはウォーリー・シューデオ(除菌タイプ・消臭スプレー)を布に含ませてフキ取り、
最後に靴の表面と内側共にスプレーして、約一週間放置しておきました。
その間にカビが死ぬだろうと考えたからです。
次の日曜日、より靴を清潔にしたかったので表面をサドルソープで洗い、内側はタオルで水拭きをしました。
自然乾燥させるとそれはさっぱりとしてまるで自分自身がきれいになった気分でした。
仕上げはデリケートクリームで保革し
最後にもう一度内側と外側に消臭スプレーをして以前のように保管しておきました。
履かない靴というのは何らかの理由で履きたくない靴で、しかし捨てるに捨てられない・・・・・。
このようなこと誰でもあるのでは・・・・。
そして下駄箱で一年過ごしたその靴はカビが再び生えること無く、
「オッ!有効」と感じながら、さらに一年が経ちました。
カビは全く生えませんでした。
大成功です。

前述でカビの発生を防ぐことができそうな条件は"湿気のあるところに置かない。
"ことぐらいだと言いましたが、汚れ(栄養)を取り除くことが一番確実であるということに気づきました。
サドルソープで洗うことで塩分と汚れを取り除き、除菌性の強い消臭スプレーでしっかりと除菌しておく。
ウォーリー・シューデオのすぐれた能力がこんなカビ対策を生み出したのです。
この新方式を皆さんも是非お試し下さい。
そして、結果をご一報下されば幸いです。

【ウォーリー・シューデオ】

■革靴のカビの対処方法のご紹介■

 

雨上がりのある日、中年の男性がやって来ました。
「こんなになってしまったんですよ。」と自分の足元を指差した。
見ると"ウァーッ、汚い!"ツヤのない靴は白い粉のシミがひろがり、
見た瞬間わが目も汚れてしまった感じがするほど不潔きわまりない靴でした。
でもこれからが自称シューケアおじさんの出番であります。

余裕と自信にあふれた細い目がニヤリと微笑みながら 
「そうですか・・・・・それは良かったですねェ」 「エエッ・・・・・???」
「だって、こんな汚いものが雨の日に履いたおかげで出てくれたんですよ!
出た分だけあなたの靴は清潔になっているはずです」 
「ウ〜ン・・・なるほどそういうことですかね」半信半疑の様子は、
《現に汚れている表面はどうすればいいのか・・・?》と思っているのでしょう。
「白い粉は、靴にたまっている汗の成分の一つで塩分なんですよ。
雨に濡れて出てきたのですから、自分できれいな水を濡らせばもっともっと出てきます。
こんなときは、栄養補給を備えたサドルソープという皮革用石けんで洗ってください。
革もしなやかになり痛みません。軽く拭き取れば全てがきれいになりますよ。」
おしんこの塩抜きと一緒で靴を濡らすことのメリットを説明すればおおかたの人は納得してくれます。

さて、実はこのサドルソープという一品は"シューケアおじさん"にとっては、
かつてその後の運命を左右させるほど(ちょっとオーバー!?)の影響があった商品なのです。
それはもうふた昔も前のことですが、そのころグラブレザー(タンニンなめし)のカジュアルシューズが流行していました。
小生も1足買い求め履いてみましたが、手入れ方法がわかりません。
そこでさっそく靴クリームのメーカーさんに尋ねてみましたところ「クリーナーはシミになりますので使用できません。
汚さないように防水スプレーをして履いてください。」との返事でした。
つまり「ビフォアケア」だというのです。これは大変な靴を買ってしまったものだ、
守ることしかできないなんて・・・・。

しかし、守るだけというのは守りきれればいいのですが、そう簡単ではありません。
黄色のわがカジュアルシューズは、白く毛羽立ち荒れ放題、しかし「座して死を待つ」のはつらい・・・。
色々な思いをめぐらしているうちに、ふと英国から届いていた靴クリーム類のサンプルを思い出して、
取り出したのが運命の「プロパーツ・サドルソープ」だったのです。
辞書を片手に、おそるおそる靴に水をつけてみると、水はあっという間に黒くしみ込んで行きました。
思い切って、一気に濡らしサドルソープで洗ってみました。陰干しで乾いた靴を見て、びっくり仰天!! 
なんとあのカサカサしていて白茶けた表面が、黄色くしっとりと蘇っているではありませんか。
凄い!外国ではこんなことをしていたのです。しかも100年以上も前から・・・・。
この衝撃的な感動を与えてくれた「サドルソープ」との出会いこそがおじさんを靴のお手入れに夢中にさせ、
「シューケア病」という不治の病にとりつかせてしまった病原菌だったのです。

以来、"靴は濡らした方が良い"ということに気付き、事あるごとにそれを実践し、また口癖にもなってしまいました。
これからもサドルソープという病原菌を目いっぱいバラまいて皆さんに「シューケア病」を蔓延させることが
おじさんに課せられた使命だと思っています。

【M.モゥブレィ・サドルソープ】

■サドルソープの使用方法■


 

当社の超ベストセラー商品にデリケートクリームがあります。
わが国に初めて輸入されたのはもう25年も前のことです。
シュークリームジャーの方は、品質はもちろんですが,
古き良き時代の英国紳士を代表するような雰囲気をもつ商品であったので
早くから靴好きの方たちに支えられ一定の地位を得ていました。

デリケートクリームの白いブリキのキャップやガラスビンはその流れを汲むものでしたが、
ライトブルーの横ラベルには白抜きのシンプルで清楚な花が3〜4コあしらわれ、
それはなんとも可憐な乙女といった感じで、少々イメージと違っていました。
(※当初デリケートクリームは白いキャップにライトブルーの横ラベルでした。)
そして、期待に胸をときめかしながら白いキャップをゆっくり回してあけてみると、
さわやかな香りがほんのりと漂いはじめ、半透明のやわらかなゼリー状クリームが
内ブタに引っ張られるように「とろ〜っ」と伸びて縮みました。
「食べてしまいたい!」そう思うほどでした。
そしてこんなクリームがあるなら外国には、
もっともっと珍しいものがいっぱいあるに違いない(その通りでしたが・・・・・)
と先々の期待で胸をわくわくさせてくれた一品でありました。

用途は、ソフトレザー用で靴、バッグ、ベルトや小物、レザー衣料品等。
素材はアニリンカーフ、ヌメ、シープスキン、ピッグスキン、ペッカリー、オーストリッチまで
スエード等を除くほとんどのレザーに損傷なく使用できます。つまり万能ということです。
ちょっと待ってください。
万能ということは他のクリームは不要ということではありませんか!
どんな革でも大丈夫というのは中途半端なのが必ず出てくるはずです。

そこで検証してみましょう。
特 長  @シミにならない → 油分が強くない。
      A色落ちが少ない → 中性である。
      B衣服に付かない → 表面にロウ分がない。   
      C素材を引き立てる→ 浸透性があり厚塗りが不可。
こうしてみるとやはりソフトレザー用なのであります。
ロウ分という表面に付着するものが無いので、革シボ(凹凸)の多いソフトレザーは、
特別なツヤは不要ですから柔軟性と栄養を与えれば、素材そのものをよりよく生かすことになります。
仮にソフトレザーにロウ分の多いクリームを塗ったら、
革シボをロウで埋めてしまいペカーッと(ビカッとではない)光ってソフト感が失われてしまいます。
逆に光の必要な革靴にデリケートクリームをぬってもロウ分が無ければツヤも今イチ、
表面保護にも物足りなさを感じてしまいます。

クリームの特長を知り、使いわけをすることにより美しいレザーは素材の良さをより引き立たせ、
最高のおしゃれを演出してくれることでしょう。
「素材を生かす・・・・・」これがR&Dシューケアの根幹をなすものであり、
そしてソフトレザーにはやはりデリケートクリームということになるのは自然なことだと思います。

【M.モゥブレィ デリケートクリーム】




「このクリームはアニリン染めに使えますか?」
「アニリン染めにクリーナーは使わないようにと言われましたが汚れたらどうするのですか?」
「アニリン革の見分け方は?」
「アニリン染めって一体何?」等々"アニリン"となると、洪水のような質問攻めにあってしまいます。
ではいったいアニリンとは何者なのでしょうか?
「アニリン染料は酸性の合成染料である。」なんて言われも何かピンと来ません。
そこで苦手な化学(ばけがく)の見地から解明しようと辞典をめくってみたものの、
舌を噛みそうな薬品名、反応などの元素記号がごちゃごちゃと記され、ますますわけがわかりません。
よって、できるだけ人間的な分かりやすい言葉で概略を説明させて頂きます。

ご存知のように色付けの材料には「顔料」と「染料」があります。
「顔料」は水や油に溶けることはないのでペンキのような塗料として表面の塗装に使われています。
革靴の場合はローファーなどに使われているガラス革が代表格です。
一方、「染料」は水などに溶けますので繊維に(革も含め)染み込み色が染まります。
アニリンは化学で作られた「染料」ですが皮革に使用しますと透明感が出て革の表面にある筋、
毛穴などの模様が美しく浮き出され「アッ、革だなァ」という質感が得られる染色方法です。
また「染料」だけを使用したもの以外に少量の「顔料」を混ぜたものがあります。
前者を「ピュアアニリン」後者を「セミアニリン」と呼んでいます。

しかし、美しいアニリン染めもいいことばかりではありません。
色アセ、色落ち、シミになりやすいなど革にとって致命的な欠陥が生じるのもアニリンです。
これは染色後にタンパク質系の仕上げ剤をぬり、
グレンジング(摩擦)することでツヤを出す仕上げ方法であるというのが大きな原因です。(コーティング力が弱い)
さて、こんなデリケートな革のお手入れは"表面を守る"ということを最優先させることが必要ですが、
同時に美しさや、長寿も考えなくてはなりません。

当社に「M.モゥブレィ・アニリンクリーム」というものがあります。
輸入前のサンプル実験のときアニリンカーフの靴に塗り込んだら何とうっすら色落ちするではありませんか。
びっくりしてPHを調べたらアルカリ性であることが判りました。
ならば「中性のデリケートクリームの方が安全で良いのではないか」
と考え使ってみたところ色落ちはほとんどありませんでした。
では何故アニリンクリームが存在するのか?!
何度も何足も実験を繰り返した結果、「ウ〜ン、なるほど!!」と思わず微笑んでしまいました。
理由は簡単でした。
汚れが落ちるということです。
アニリン染めにはクリーナーが禁物です。
しかし、アニリンクリームは保革の他にクリーナー的な役割も果たすということだったのです。

ここで、アニリンクリームの最良の使い方をご説明しますと、
クリームを少量、靴にまんべんなく塗り一分ほど乾かし、その後磨いてください。
弱めの油分はシミにもならず美しい光沢のベールが出来上がります。
これだけです。
後にベールの上に付くであろう汚れはアニリンクリーム1個で落とせます。
また、同時に栄養、ツヤ出しなど全てをやってのけることができる優れものなのです。

「じゃあデリケートクリームは?」というと
前号でお話した通りロウ分が無いために表面にベールを作ることにおいて劣ります。
つまり靴にはアニリン専用クリームに軍配が上がります。
最後に皆様からよく聞かれる質問に「アニリンカーフの見分け方は?」というのがあります。
前述のように革シボが見えて透明感のあるものなのですが感覚でしかわかりません。
感覚を磨くにはメーカーにアニリン染めかどうかを確認しておき、
他の染めとどのように違うのかいつも注意して見比べて、インプットしておくしかありません。

また、色落ちやシミについて注意すべきアニリン染めは色の薄いものだけです。
それは、シミが目立ったり、色落ちが黒ずんで見えるからです。
黒やダークブラウンのように濃い色は関係ないといっても差し支えありません。
以上がアニリン染めについてのお話でしたが、
いやはや私のように化学(ばけがく)のわからない人間には少々難しい問題ではありました。

【M.モゥブレィ アニリン クリーム】





コードヴァン(コードバン:Cordovan)はヤギの革です・・・・。
と答えたとしたら、皆さんはどう思います?実は本当なんですよ。
辞書『大辞林』にこう書いてあります。[スペインのコルドバ産のヤギ皮で製した、ツヤのあるなめし革。
また、これに似せた馬の背、尻からとったなめし革。靴、ベルトなどを作る(全文)]他の資料にも、
[コードヴァンはスペインコルドバ地方で生産される毛穴の目立たない滑らかなツヤのあるヤギ皮を
指していたが同じようなヤギ皮があちらこちらで作られるようになったため、
いつのまにかそれに極めて似た馬革がコードヴァンレザーと呼ばれるようになった。]ということが書かれています。
つまり馬革の方が“ニセモノ”だったのですね。
そうはいってもオジサン流には、「ニセモノだって本物を越えてしまえばこちらが立派な本物なんだ・・・・。」です。


いまや靴好きの諸氏達にとって垂涎の的であるコードヴァンは、馬革の尻部の中でも特に、
繊維組織が超高密度の厚い部分(貝の形をしているのでシェル部という)を、タンニンで長時間かけてなめし、
天然油脂と染料でじっくりと仕上げツヤを出したものです。シェル部は皮膚(革)組織断面のほぼ中心部、
わかりやすく言えば銀面と裏面の中ほどにあるため、シェル部が表に現れるまで裏面を削り取ってから、
この部分を磨きこみますので光っていても革の裏側が表面になるわけです。表面には表皮がありませんので、
“銀浮き”という現象は起きません。

また、引っ掻きによって筋(溝)は付きますが、めくれるように剥がれることもありません。
これは他の革の繊維組織が横に流れるように重なっているのに対して、
コードヴァンは超高密度の繊維組織が縦に並んでいるからです。
その上、牛革よりもはるかに丈夫で型崩れも少ない。
さらに美しいツヤと、馬一頭から靴一足半から二足分しかとれないとなれば
“King of Leather”として、人気が高いのは当然といえば当然ですね。

原産国は、フランス、スペイン、ポーランドなどですが、コードヴァンを原皮から仕上げまで行っているタンナーは、
世界広しといえども、アメリカにホーウィン社の一つしかありませんでしたので、
かの有名なオールデンやアレンエドモンズ、コールハン他のアメリカのメーカー数社に偏っています。
大量生産が出来ないからですが、何よりも丈夫でピカピカしているのは、アメリカ人好みであったのではないでしょうか。
今ではわが国でもコードヴァンを供給しているタンナーが数社存在しがんばっています。

さて、コードヴァン靴の手入れは?という御要望をたくさん頂きましたのでオジサンなりにお答えいたしますと、
こんなに神秘的で特殊な革でも、基本的には普通の牛革と同じで良いのです。
汚れてきますと輝きがなくなりますから、ステインリムーバーも使って下さい。
靴クリームも乳化性が基本です。仕上げには防水力とより一層の輝きのためにシューポリッシュも必要です。
但し、ワイン系など黒以外の色はカラークリームで手入れをしているうちに、だんだんと黒ずんできますので、
気になる方は最初のうちは無色のクリームから使い始める方が無難です。
  
また、光らせたい一心でシューポリッシュだけを単独で使っていますと、革が乾いてかえってキズが付きやすくなります。
意外と気になるのは、水による小さなシミが出来やすいことです。
これはコードヴァンが裏革であり、縦型の繊維組織であることを考えれば仕方のないことですね。
こんな時は水を絞ったタオルで拭いて湿らせると、目立たなくなります。
これらのことはコードヴァンに限ったことではありませんので、もっと肩の力を抜いて気楽に手入れをしてくだされば
「なぁ〜んだ!」ということになりますよ。
さぁ!ピッカピカにしたら街へ飛び出して颯爽と歩いてみてください。すれ違う人々の目が、  
吾が足元に注がれるせん望の視線に、誇らしく飛び跳ねたくなりそうな昂ぶりを抑えながら、さりげなく・・・・・。            

【ウォーリー ワックスカラークラシック】

■コードバンのお手入れ方法のご紹介■





靴の手入れがうまく行くかどうかは、「汚れが落ちるかどうかで80%決まる......」と言っても過言ではない。
さて、"靴の汚れ落とし"と言えば「アッ、あのチューブ入りのクリーナーか」と誰でも思い浮かぶほど、
チューブタイプが日本ではポピュラーな製品になっています。
だが、このようなタイプのクリーナーを欧米で見かけないのは何故でしょう?
日本であまり汚れの落ちないチューブ状のクリーナーがこれほど普及している理由は?
当社広報部でそれらの理由を調べたところ、
以外や業界で60代以上の人ならかなりの人が知っていて、それほど古いことではないことがわかりました。

そのルーツは昭和30年代にさかのぼります。当時は「ハンドクリーナー」という他の業界でつくられた、
アンモニア臭いチューブ入りのクリーナーが全盛を誇っていました。
もともとは、工場などで手に付着した機械油などを落とすクリーナーをそのまま靴に転用したと言うわけ。
当時の道路事情がかなり悪かったせいもあったのでしょう。これが売れに売れていて、
クリーナーといえば「ハンドクリーナー」を指していたものでした。
その後、靴クリームメーカーが同じようなクリーナーをコピーしましたが、
売れるようになるまでは「○○メーカーのハンドクリーナー」と呼ばれ、それは靴クリーナーの代名詞でした。
そして、第一期ブーツブームの頃「ハンドクリーナー」はすっかり姿を消し、
靴クリームメーカーのものに取って代わられてしまいました。
 
そんな時、業界を震撼させる大事件が起きました。
今では一般的になったアニリンカーフというこわ〜い素材が出回り始めたのです。
その尻ぬぐいは、靴クリームメーカーが負わねばなりませんでした。
そんなことで、靴クリームメーカーは対策と原因究明で悪戦苦闘の結果、「中性クリーナー」を完成させたのです。
つまり、それまでのクリーナー(アルカリ性)は汚れが落ちすぎる。酸性にすれば安全だが何の効果もない。
そこで、必然的に「中性」になったと言うわけです。
  
かくして、両極の中間をとった、汚れがほとんど落ちない「中性クリーナー」があっという間に全国を制覇し、
更に欲張ってワックスを加えツヤまで出るようになり便利そうになりました。
しかし、こうなるとクリーナーか靴クリームかわからない、
その上汚れはますます落ちなくなっているという矛盾した現象が今日まで続いているのです。
【だから、一般の消費者の方々に「靴クリーナーって汚れが全然落ちないね」と言われてしまうのです。】

とにかく、これでは靴の手入れも興味がわかないし、靴(革)が好きになるチャンスも失われ、
業界にとって不幸なことであります。あくまで、クリーナーの仕事は汚れを落とすことなのです。
そして、汚れとは、靴の表面に付着しているもの全てであり仕上げ剤だってそのひとつです。
へばりついた古い靴墨も、通気性を大切にする皮革にとってはすべて皮膚のアカと同じなのです。
こう考えると、「クリーナーが無難である」ということの愚かさに気づき、
クリーナー選びの大切さがおわかりいただけると思います。

【M.モゥブレィ・ステインリムーバー】

■スムースレザーのお手入れ方法のご紹介