Thinking Leather Action(TLA)とは


エコ、サステナブル、SDGsなど時代の変化とともに消費者の関心興味が高まり、様々な取り組みに繋がっている昨今。

良いことばかりではなく、悲しいことに皮革 / 革製品については、主に「4つの誤解」が生まれており、その誤解をSNS・メディアなどで拡散してしまっている事例も見受けられます。


TLAは、一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)が2021年に立ち上げたワーキンググループです。

Thinking Leather Action(TLA)活動というワーキンググループや革がいかにエコでサステナブルである素材であるかという情報を数回に分けてお届けしていこうと思います!




※出典元 (一社)日本皮革産業連合会


「実は 、革ってサステナブル。」


初回は革を作るために動物を殺しているのか?という疑問や誤解について解説していきたいと思います!

革のために動物の命をいただくことはない


動物の命をいただくことは決してありません。
また、革製品をつくるのをやめたとしても、畜産計画に影響はなく、畜産のCO2は減りません。むしろ、CO2が増える可能性があるようです。

そもそも、革製品は食肉用の副産物である皮を活用して製造されています。

革製品を使うことをやめてしまうと、年間で牛約100万頭分の皮を廃棄することとなり、埋め立てや焼却のためのCO₂を排出することになります。
※実際は、施設・土地に限りがあり、日本ではこれ以上の焼却や埋め立てはできないそうです。

◎皮革/革製品は人類との歴史・付き合いが長すぎるため忘れられていますが、
世界最古のアップサイクル素材であり、脱炭素にもつながるエコでサステナブル
な素材なのです。

革製品も使い終わったあとは焼却処分するので、皮を革として活用したところで変わらないのでは?


それはどの素材も同じです。

例えば、素材のために材料からつくったり資源を採掘する必要が
ありますが、皮は畜産からの副産物なので、意図せずとも次々と出てきてしまい、廃棄するには相当の環境負荷がかかります。食肉文化がなくなるか、画期的な廃棄方法が見つかるまで、私たち皮革業界が革製品として活用することには意味があります。

Men’s accessories on a blue wooden background, top view

動物がかわいそうだから革をつくるのは良くないのでは?


皮革産業は、あくまで畜産の副産物で成り立っています。我々が革(製品)をつくるのをやめても、畜産計画に影響しません。

それどころか出続ける皮を処理しないと、新たな環境問題が発生します。

食肉文化が続く限り、いただいた命に感謝し、命の一部を無駄なく大切に利用し、皮革・革製品をつくらせていただくことが、皮革業界の使命だと考えています。

Point :ハイブランドの動向


実は、毛皮の使用をやめるハイブランドはあっても、皮革の使用をやめるハイブランドはほとんど存在しないようです。


※(一社)日本皮革産業連合会 WEB検索(国内サイトのみ)による独自ブランド遍歴調査(2022年11月調べ)によれば、現在も、著名なブランド(売り上げ
規模上位27社)は皮革使用を継続中。選定基準:売上規模ランキング(デロイトトーマツ発表、ラグジュアリーブランドランキング参照)からピックアップ
※ランキング内のコスメなどのブランドは外す。

革のためだけに動物を殺しているのでは?


わざわざ革のために動物を殺すことはありません。すでに一部の皮は革製品にならず廃棄しており、皮は余っている状況です。

例えば牛の場合、2021年度の世界のと畜数が3.2億頭、その内、革になっているのが55%といわれています。

皮以外も、血や骨に至るまで、余すことなく活用しています。
(化粧品や医療、油脂、コラーゲン、ゼラチン、肥料など)

革だけのために家畜を育てても、利益がでることはありません。

例えば、国内で成牛の革が1頭分(500デシで換算)で2万円~5万円くらいで取引されています。

それに対して、例えば肉用牛1頭の飼育にかかる費用は、83万円~134万円といわれています。

ここからも革のために動物を育てる意味がないことがわかると思われます。

ワニ革、トカゲ革、ヘビ革、オーストリッチ革はどうか?


エキゾチックレザーも、皮だけでなくお肉や血液まで、命の隅々まで無駄なく活用しています。

例えば、ワニ・トカゲ・ヘビの産地では、野生種が貴重なたんぱく源でしたが、皮も売れることがわかり、そこから産業になっていきました。

現在では地元の人たちの貴重な収入源になり、保護が進みました。また開発途上国では、この収入が子供達の学費にもなっています。

ワニなどは、ワシントン条約に基づき、密猟や乱獲などで数が減りすぎないように厳重に管理されており、地域によっては害獣化予防にも一役買っています。現在では養殖場で多くの皮が生産されるようになり、野生のものは原産国で充分管理された上で捕獲されています。

ワニなどは、皮だけでなくお肉や血液まで、命の隅々まで無駄なく活用されています。

トカゲやヘビなどは、アブラヤシなどの農場にいるものを捕獲しており、肉なども食されています。

オーストリッチも、全て養殖されたものが利用されており、皮と羽根の利用だけでなく肉も食されています。

その他のエキゾチックレザーも、基本は地元の人たちのたんぱく源からスタートしており、現在も食肉をとった残りなどを利用しています。

Point エキゾチックレザーの割合は?


エキゾチックレザーの使用は皮革全体の1%未満で、牛・馬・羊などの家畜で99%を占めています。

最後に


次回は革製品をつくるのをやめれば、畜産でのCO 2 が減るという誤解について解説していきます!

本ブログは革がエコでサステナブルである素材であることをお伝えするためのものであり、他のアイデアや素材を否定したり攻撃する意図はございません。

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